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アングル:「ロックダウン2.0」、メーカーの想定外だった消費行動

カナダ トロントのスーパー
11月13日、英国が再びロックダウンに入るとのうわさが最初に広まると、近所のスーパーマーケットの棚からはまた、パンやトイレットペーパーが姿を消し、リアンヌ・バーンズさんは絶望感を抱いた。ニューヨークのスーパーで8月撮影(2020年 ロイター/Carlo Allegri)

[シカゴ/リスボン 13日 ロイター] – 英国が再びロックダウンに入るとのうわさが最初に広まると、近所のスーパーマーケットの棚からはまた、パンやトイレットペーパーが姿を消し、リアンヌ・バーンズさんは絶望感を抱いた。だが、驚いたことにほんの数日のうちに、在庫はすっかり回復したのである。

バーンズさんは前回のロックダウンの際、マカロニ&チーズ、ラビオリ、スープ、スパゲッティなど調理が簡単な食品も自宅の備蓄に加えた。しかし、先週は買いだめをする緊急性をほとんど感じなかったと彼女は言う。

これまでのところ、消費者が再びパニック的な買いだめに走り、今年前半のようにパッケージ食品メーカーを混乱に陥れる様子は見られない。

その一方、キャンベル・スープ、クラフト・ハインツ、マコーミックなどの大手食品メーカーは、小売店の陳列棚が空にならないよう、製造・パッケージ・価格設定を変更するなどの対策を講じていることを発表、あるいはロイターの取材に対して明らかにしている。

食品メーカーが取った措置のなかには、生産拡大や人員増強、飲食店向けから食料品店向けへの出荷転換、パッケージの大型化などがある。だが、こうした措置の多くは、企業の財務にとってはかなりの負担になる。

エコノミストらは、消費者が浪費している余裕などないことを悟っており、したがってパニック買いに走る可能性は低いと話している。

ルクセンブルク・ロジスティクス・サプライチェーン管理センターのベニー・マンタン所長によれば、消費者は、たとえかなりお得な価格が提示されたとしても、むしろ買いだめを控える可能性が高いという。新型コロナ不況のなかで、手持ちの資金を温存しておきたいと考えているからだ。

ロイターが一群の商品について分析したところ、米国・欧州の消費者が購入している量は、今年初め、最初のロックダウン開始の頃に比べて大幅に少ないことが分かった。他方、消費財メーカーにとって、急速な生産拡大がもたらした財務面での影響は深刻なものになっている。

ビヨンド・ミートでは第3四半期の売上高成長が鈍化し、同社は9日、1930万ドルの純損失を計上した。その一因は、今年前半の食料品需要に対応するためのサプライチェーン刷新により支出が増大する一方で、第3四半期には同社の言う「小売店での買いだめ」が減少したことだ。

香辛料メーカーのマコーミックのコストは最新の2四半期で急増し、リフィニティブによれば、今四半期はさらに上昇すると予想される。

マコーミックのローレンス・カージュスCEOは10月、ロイターの取材に対し「当社の今日のサプライチェーンは、今年初めに比べてはるかに強靱(きょうじん)なものになっている」と話している。

カージュスCEOによれば、マコーミックでは、一部のグルテンフリー香辛料といった商品を後回しにして、パンプキンパイ用香辛料やタコシーズニングなど人気が高く簡便な調味料の素材を優先せざるをえなかったという。「希望的観測は避けたいところだが、マコーミックも食品産業全体としても、以前よりはるかに改善されたと思っている」と述べた。

リフィニティブによれば、パスタソースのブランド「プレゴ」を傘下に収めるキャンベル・スープは、来月の業績発表において、過去5四半期で初めて営業費用の上昇を報告すると予想される。キャンベルは、チキンスープ、トマトスープなど人気の高い製品に注力するため、一部の製品を犠牲にしており、最新四半期には衛生設備への投資や人件費が上昇した。また、9月には「ゴールドフィッシュ」クラッカー製造工場を新設するために4000万ドルを投資している。

キャンベルのマーク・クラウスCEOはロイターに対し、同社は予想外の需要があった場合に迅速に対応するため、スープ及び一部のスナック食品の製造について、「コ・パッカー」と呼ばれる外部製造企業へのアウトソーシングを拡大したと話している。

「冬季に向け、スープ製品は十分に供給できるだろう」とクラウスCEOは言う。「3月に見られたような状況とは異なり、飲食店の陳列棚には商品が十分に並ぶだろう。適切な品そろえを確保するため、小売企業と密接に協力しているからだ」という。

製造コストの上昇に苦慮している企業としては、他にプロクター・アンド・ギャンブルがある。同社では今年、トイレットペーパー「チャーミン」の生産量が過去最高となり、ラインを週7日24時間体制で動かすために雇用を拡大した。

P&Gのライバルで、トイレットペーパーの生産量では世界首位のキンバリー・クラークでも、製造・流通コストが上昇している。

クロロックスは今月、外部のサプライヤーへの「投資をかなり拡大し」、小売企業向けの製品供給を迅速化していると述べている。

クラフト・ハインツなどの企業も、週7日24時間体制で工場を動かし、より大きなパッケージサイズで値頃感のある製品を製造している。

クラフト・ハインツでは、12食入りマカロニ&チーズやケチャップ大瓶の需要が増大しており、ミゲル・パトリシオCEOは「値頃感への関心が高まっている。迅速に適応できる企業にとっては、有利に働くはずだ」と話す。

パトリシオCEOはロイターの取材に対し、クラフト・ハインツでは米国内における外部企業への生産委託を20%増やす一方で、社内でも20─25%の増産になっていると語った。

ケロッグは、2021年に向けて「かなりの生産能力」に投資する予定であると話している。

マコーミックのカージュスCEOは、同社もやはり「コ・パッカー」との契約締結を増やし、工場のシフトを週7日24時間に変更し、米国内で製造労働者を400人雇用して生産を拡大していると話している。「今年の需要急増に対応するため、製造センターまるごと1カ所に相当する生産能力を追加した」とカージュスCEOは説明した。