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第12回 コロナ特需に沸くいまこそ対応すべき「生鮮食品のグロサリー化」の遅れ

スーパーマーケット再創造

コロナ以前からの課題

 コロナ禍では、一時は学童の給食が休止となったほか、外食業はいまだに営業自粛や時短営業をせざるをえない状況が続いている。こうしたなかでは、家族の食生活を賄う食材を入手するためには、スーパーマーケット(SM)を頼らざるをえない。とくに野菜や果物、肉、魚などの生鮮食品はSMがフルラインで揃えているからだ。一方、コンビニエンスストア(CVS)やドラッグストアでは扱う食品の品種・品目が少なすぎて必要なものが揃わない。また、感染リスクの観点であちこちに買いまわることがはばかられることもあり、消費者は混雑覚悟でSMに出かけるしかない。

 さらに、感染防止のために、お客は店に長居することを避けるとともに、危険を冒してまで何度も来店したくないから、一度に必要なものを買い揃えたいと考えるようになっている。そうなると商品に求められる条件は、賞味期限が長いことだ。数日、数週間の常温、冷蔵、冷凍保存ができることが重要だ。

 この条件は新型コロナウイルスの影響を受ける以前から重視するべきだった。女性の社会進出が進み、成人女性の7割以上が職業についている時代である。毎日夕方にSMに出かけてその日の夕食用の食材を入手するといった、専業主婦のような日常行動はできないのだ。また、高齢者と単身世帯の増加で、食材よりもプリペアードフードが重宝されるようになったのだから、生鮮食品は進化したかたちで提供されねばならない。

 生鮮食品は洗浄しプリパッケージすることで、消費者は下準備の手間が省けるし、商品を日持ちさせることもできる。温度管理さえ完全なら、葉野菜のカットサラダの賞味期限は10日以上になるのだ。しかも野菜は味のバラエティと彩りを考慮して10品目以上のコンビネーションも用意できる。電子レンジ対応の温野菜でも同様の商品を提供可能である。

 欧米ではすでにこれが常識となっている。肉や魚などたんぱく質系の食材も例外ではない。用途を特定して下準備を済ませた後、冷蔵または冷凍で提供される。たとえば魚は、内臓と骨と皮を取り除き、冷凍ブロックの形でチャック付きのプラスチックパウチで販売される。そこから必要な個数を取り出して使えばメインディッシュも簡単にできる。しかも冷凍なら魚は臭くないのだ。

アメリカのスーパースーパーマーケットチェーンの青果売場は様変わりした。グロサリー化したプリパッケージの商品が全体の半分以上になっているのだ

 こうした取り組みを「生鮮食品のグロサリー化」という。

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