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グローウェルHD、中国の大手小売業と合弁会社設立、大陸挑戦が加速するドラッグストア各社

海外市場が新たな競争のステージに

 8月17日、東京・港区のホテルオークラ東京で、グローウェルホールディングス(以下、グローウェル。東京都千代田区、高田隆右社長)と中国の流 通最大手百聯集団グループに属する聯華超市股●(●はにんべんに分)有限公司(聯華スーパー)および、中国国内でネット通販事業を営む上海毎日通販商業有 限公司の3社で合弁会社設立調印式が行われた。3社は今年11月にも上海市長寧区に本社を置く企業を設立し、中国国内に日本式ドラッグストア(DgS)を 展開していく予定だ。新会社の出資比率はグローウェルが39%、聯華スーパーが43%、上海毎日が18%。

 この1~2年、日本国内DgS各社の海外進出が本格化してきた。少子高齢化や業態のボーダレス化を受けて国内市場の難しさは、かねてより懸念されてきた。そうした事態に先駆けて各社とも新たな利益確保に向け、布石を打っているかたちだ。

 2009年には、ココカラファインHD(神奈川県横浜市、塚本厚志社長)のセイジョーがロシア企業とロシア国内で合弁会社を設立。同国での日本製 品輸入販売から将来的な出店への調査を開始した。同年には同HDのセガミメディクスが中国への進出を決定。翌10年8月、上海に1号店を出店している。そ の他の企業でもツルハHD(北海道札幌市、鶴羽樹社長)は、タイの企業と商品供給提携を締結。PBの供給と同時に同国への出店の可能性を探り、キリン堂 (大阪府大阪市、寺西忠幸社長)も中国への商品供給、出店をめざし、今年1月に合弁会社を設立している。

 こうした動きのみならず、業界1位のマツモトキヨシHD(千葉県松戸市、松本南海雄社長)も決算資料の中で、「新たな事業機会の獲得に向けた海外 成長市場の調査・研究」を行っていくとうたっており、海の向こうに広がる市場へ目を向けていく動きは、多くの会社へ広がっている。

 現在、中国のDgS市場は香港に本拠を置く「屈臣氏(ワトソンズ)」が圧倒的な存在で業界No.1の座にある。しかし現地新会社の総経理に就任す る松本忠久グローウェル取締役執行役員は、急速に拡大するビューティケアマーケットや日本ブランドへの信頼感を踏まえ「中~中の上ぐらいにある、ワトソン ズよりも若干価格帯が高くても売れるライン」で、現地の生活者に受け入れられるともくろむ。1号店の出店予定は上海の中心部に今年12月オープン予定。規 制の都合でしばらくはOTCは取り扱わず、ビューティケア中心の商品ラインアップになる。グローウェルのPBを20%程度投入し、日本ブランドの良さを前 面にアピールしていく。

 日本式DgSが中国の生活者、さらにはその先にいるアジアの生活者へ受け入れられていくのか。各社の挑戦がこれを機に、ますます加速していきそうだ。