[29日 ロイター] – 米アマゾン・ドット・コムが29日に発表した第3・四半期(9月30日まで)決算は、生鮮食料品や日用品を含めたオンライン販売が伸びる中、売上高が市場予想を上回り、前期に続いて利益が過去最高を記録した。
年末商戦を含む第4・四半期についても売上高が市場予想を上回り、初めて1000億ドルを超えると予想。一方、新型コロナウイルス対策関連のコストが第3・四半期より増えると見込んだ。また、配送インフラへの投資強化を今後数年続ける可能性が高いとした。
アマゾンの株価は1.5%高で引けた後、時間外取引で2%安。
第3・四半期の売上高は961億5000万ドルと、前年同期の699億8000万ドルから増加。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の927億ドルを上回った。
クラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の売上高は29%増の116億ドル。クラウドサービスはコロナ禍で在宅勤務が広がったことで需要が押し上げられ、競争が激しくなっている。マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」の第3・四半期売上高は48%増と、AWSに攻勢をかけている。
第3・四半期の利益は63億ドルで、2期連続で過去最高益を記録した。
第3・四半期には有料のプライム会員の購買頻度が上がり、会員更新率も上昇、世界的にプライムビデオの利用が増えた。また、春に落ち込んだアマゾンへの広告出稿が再び増加した。
アマゾンは第4・四半期の売上高が初めて1000億ドルを超え、1120億─1210億ドルと予想。リフィニティブがまとめたアナリスト予想は1123億2000万ドル。
ベゾス最高経営責任者(CEO)は声明で「年末休暇のギフトを早めに購入する顧客がかつてないほど増えている。今回の年末商戦が前例のない売り上げになる兆しの一つだ」と説明した。
第4・四半期の営業利益は10億─45億ドルと予想。調査会社ファクトセットによると、アナリスト予想の58億ドルを下回った。
アマゾンは新型コロナ流行以来、従業員を新たに40万人超採用し、急増する需要に対応してきた。だが、その間に米国の従業員1万9000人以上が新型コロナに感染し、拠点閉鎖への抗議も起きた。
アマゾンは従業員のウイルス検査や防護器具の提供、倉庫での対人距離の確保などの対策を講じており、第4・四半期の新型コロナ関連コストとして40億ドルを見込み、第3・四半期の25億ドルから増やした。オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は会見で、倉庫内での対人距離確保に伴う生産性低下が新型コロナ関連コストの大部分を占めると説明した。
一部のアナリストは、アマゾンがコロナの制約がある中で年末にかけて急増する注文に対応し続けられるかに注目する。アマゾンは自社での配達を拡充しているほか、例年7月開催の有料会員向けセール「プライムデー」を今年は10月にずらした関係で、年末休暇ギフトの早めの注文が期待できる。
オルサブスキーCFOは会見で、アマゾンとしては年末商戦に向けて準備できているが、提携する配送業者が直面する問題の影響を全く受けないわけではないとした。
CFOはまた、すでに自社の配送能力の拡充に多額を投じているが、今後数年も配送能力強化への重点的な投資を続ける可能性が高いと語った。