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減益SM相次ぐなか中間決算絶好調のヤオコー、増収増益記録更新に向け視界良好!

ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)は11月11日、2025年3月期の中間決算を発表した。24年3月期通期決算で増収増益記録を「35」に伸ばし、今期も記録更新が注目される同社。今期は人件費上昇を背景に多くの同業が中間決算で減益に沈む中、ヤオコーの業績はどのような着地だったのか。

連結、単体ともに増収増益

 ヤオコーの2025年3月期(連結)の中間決算は、営業収益が対前年同期比17.9%の3595億円、営業利益が同9.6%増の213億円、経常利益が同8.0%増の209億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同5.4%増の144億円の増収・増益だった。既存店の好調に加え、4月に子会社したせんどう(千葉県/小澤三夫代表)の連結効果もあって営業収益は2ケタの伸び。人件費(同19.4%増)をはじめ販管費が大きく上昇したものの(同18.4%増)、営業総利益の伸び(同16.4%増)がカバーし、営業利益以下の段階利益はすべて前年同期を上回った。

 ヤオコー単体の業績も、営業収益が同9.7%の2893億円、営業利益が同4.9%増の213億円、経常利益が同8.0%増の209億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同5.4%増の144億円の増収・増益だった。ヤオコー単体の既存店売上高は、前年同月比106.3%、客数(103.5%)が伸長したほか、1品単価の上昇により客単価(102.6%)も伸びた。

 傘下のディスカウント、エイビイ(神奈川県/八塩直之社長)も好調だった。なお2021年より開始し、現在5店舗を展開するディスカウントフォーマットのフーコット(埼玉県/新井紀明社長)については、「今のところ、認知はまだ低いが、日販は着実に上がっている」(川野社長)とし、プロセスセンターや本部などの費用を除いた店舗レベルでは黒字化している店もあるという。

ネットスーパーは黒字化に向け足場固め

 ネットスーパーの対応店舗数は現在24店舗。「今期はサービス拡大を止めて、黒字化に向けた施策に取り組んだ。最低購入金額を設定し、8000円以上の購入で送料無料とするなど、配送1件当たりの単価を上げるための価格改定を実施した」(川野氏)。こうした取り組みが奏功し、現在は対応店舗の約半数が黒字化を達成しているという。

 出店政策では、上期中は旗艦店「久喜吉羽店」(埼玉県久喜市)を含む4店舗を出店。下期は現在までにすでに2店舗を出店しており、11月に「新百合ヶ丘店」(神奈川県川崎市)、25年3月には「綾瀬店」(神奈川県綾瀬市)の出店を控える。なお、10月にはエイビイも「平塚店」(神奈川県平塚市)を新規出店している。

 そのほか、自社プライベートブランド(PB)「Yes!」シリーズのほか、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)と共同開発PB「star select(スターセレクト)」などを含む、PB売上高は同12.4%増。PB売上高比率は同10.19%と前年同期から0.09pt上昇した。

 上期業績の好調を受け、ヤオコーでは大型改装投資を2店舗から8店舗に積み増す。建築費高騰の影響などもあるものの、新店、改装、システム・センターなどを含めた25年3月期通期の設備投資、前期から109億円増の376億円になる見通しだ。設備投資の方針について、川野社長は「ある程度の店舗数を改装しないと、店舗年齢が古くなる。改装は一定のコストをかけていく。また、店舗数の拡大とあわせて、デリカセンターや物流センターへの投資も継続的に行っていく」と話す。

 通期の業績予想(連結)は期初から据え置き、営業収益が対前期比14.1%増の7070億円、営業利益が同7.1%増の314億円、経常利益が同5.6%増の305億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.5%の187億円と増収・増益を見込む。多くのスーパーマーケットが中間決算で減益に沈む中、難なく増益を達成したヤオコー。36期の増収増益達成に向け視界は良好だ。