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最新決算発表前に振り返っておきたい、家電量販店売上ランキング2022

商業動態調査によれば、2022年の家電量販店売上高は対前年同期比0.5%増の4兆7084億円。コロナ禍でのテレワーク、特別定額給付金による買い替え需要が一巡したことから、テレビやオーディオなどのAV家電、パソコンなどの情報家電は2年連続で前年を下回り、エアコン、白物家電、調理家電など生活家電はほぼ横ばい(0.7%増)となっている。

どうなる?2023年決算

 業界トップのヤマダホールディングス(群馬県:以下、ヤマダHD)の2023年3月期は増収減益予想。第3四半期累計の売上高は対前年同期1.3%減の1兆1773億円だった。ヤマダHDでは23年3月期から「YAMADA HD 2025中期経営計画」がスタートしており、家電、家具・インテリア、生活雑貨、リフォーム、おもちゃなどを取り揃える体験型店舗「LIFE SELECT」の展開を開始する一方、型落ち製品のほか、自社で手掛けるリユース製品も取り扱うアウトレット店への既存店の転換も進めている。

 業界2番手、大阪に本部を置くエディオン(大阪府)の23年3月期第3四半期の累計売上高は同1.8%増の5385億円。22年4月、ニトリホールディングス(北海道)と資本業務提携を結び、全店で「ニトリ」のインテリア製品の扱いを開始するなど、家電以外でのラインアップ拡大に取り組んでいる。

 22年9月に社長が交代、秋保社長新体制となり、内製化によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するビックカメラ(東京都)の22年8月期決算の売上高は4056億円(当期より収益認識基準を適用、旧基準比で同3.4%減)、同グループのコジマ(栃木県)は2793億円(同2.7%減)、ソフマップ(東京都)は393億円(同12.6%減)だった。23年8月期第1四半期は、ビックカメラが998億円(前年同期比7.4%増)、コジマが636億円(同2.1%増)、ソフマップ97億円(同8.3%増)となっている。

 メーカー販売員を配さず、自社社員によるコンサルティングセールを強みとするノジマ(神奈川県)は、首都圏好立地への積極的な出店を続けている。23年3月期には、百貨店内への出店として、東急百貨店たまプラーザ店、船橋東武店、東急百貨店吉祥寺店、小田急町田店をオープンさせた。

 22年における家電量販店業界での大きなトピックとしては、セブン&アイ・ホールディングス(東京都)が米投資ファンドへの売却を決めたそごう・西武(東京都)の再建のビジネスパートナーに、ヨドバシカメラ(東京都)の持株会社であるヨドバシカメラホールディングス(東京都)が名乗りを上げたことがあげられる。現段階で最終契約に至っていないが、今後の動向が気になるところだ。

2022年、家電量販店売上高ランキング

 間もなく、2023年決算が発表になる。各社決算発表を待つ前に、22年決算の売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。

家電量販店売上高ランキング2022

 2022年の売上上位25社の売上高合計は、対前年比3.6%減の5兆8690億円だった。巣ごもり需要からの反動減、リモートワークなどによる買い替え需要の一巡もあって、売上上位が軒並み売上を落とした。

 ランキング上位の顔ぶれと順位に大きな変化はなかった。トップはヤマダHD。22年3月期の売上高は対前期比7.6%減となったが、2位以下を大きく引き離す1兆6193億円を稼いでいる。同社は減収の原因に、郊外店舗を中心に巣ごもり需要の反動減があったことなどを挙げている。2位の大阪に本部を置くエディオンも、22年3月期の連結売上高は同7.1%減の7137億円の減収だった。ヨドバシカメラは7093億円で第3位をキープしている。

 一方、ビックカメラ子会社でランキング7位のコジマの21年8月期の売上高は同3.2%増の2975億円と増収。都市近郊を中心に店舗を抱える同社はテレワークの広がりによる商圏内の昼間人口を取り込むことに成功した。同2.9%増の2693億円と増収のノジマは売上では8位だが、純利益ではヤマダHD、ヨドバシカメラに次ぐ存在。売上高純利益率はダントツの1位だ。

 非上場企業ではパソコン専門店の「ドスパラ」などを運営するサードウェーブ(東京都)の21年7月期の売上高は同21.1%増の641億円、埼玉県に本社を構えるでんきちの21年5月期の売上高は同11.2%増と売上を伸ばしている。前者は専門性の高さ、後者は地域に根差したサービスが好調の要因だった。

※売上高は営業収益を掲載している場合もある。売上高の前期比較増減については、「収益認識に関する会計基準」が2021年4月から始まる会計年度より適用されているため、原則として22年2月期以前の決算期は適用前とし、前期との会計基準が統一されているとみなして増減を掲載。
22年3月期以降の決算期は適用後とみなして増減を記載していないが、決算資料やアンケート等で会計基準が統一されていることが確認できる企業は掲載。
また、会計基準を統一せず、新旧の単純比較による増減を公開している企業の増減数値には「*」を付して掲載している。