メニュー

DXで来店頻度アップ施策の自動化をめざす ツルハHDの鶴羽順社長が中間決算で語った戦略

ツルハホールディングス(北海道:以下、ツルハHD)の2023年5月期第2四半期(上期)業績は、売上高は対前期比4.7%増の4841億円、営業利益は同8.8%増の247億円、経常利益は同9.7%増の248億円、四半期純利益は同14.9%増の146億円だった。

ツルハホールディングスの鶴羽順社長

今期から出店基準を見直し

──以下、決算説明会における鶴羽順社長の発言を抄録する。

鶴羽社長 2023年5月期通期業績予想は、当初のとおり売上高9688億円、営業利益427億円を見込んでいる。上期は計画どおりに進行した。下期は非常に苦戦した前期下期よりも人流回復を見込めるということも含め、ハードルは決して低くはないが、何とか達成したい。

 22年6月に発表した新中期経営計画は、向こう3年間は収益改善フェーズとして足場固めをしっかり行い、次なる再成長フェーズにつなげていく趣旨だ。25年5月期に売上高1兆600億円、営業利益率5%以上にするため、重点戦略として①店舗戦略、②調剤戦略、③プライベートブランド(PB)戦略、④デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略、⑤財務戦略の5つを掲げている。

 店舗戦略について、今期は151店舗を出店する計画だ。上期終了時点で76店舗を出店しているので、ほぼ計画どおりの実績だ。新店の早期黒字化を課題としており、今期から出店基準を新たに見直し済みだ。より厳しい出店基準にして、今は精度を高めている。

 同時に、出店してからの認知度を早く上げるために、販促手段など営業部門とかかわるところも見直ししている。ドミナント出店を中心にして、シェアを高めていきたい。

併設調剤の展開を加速!

 鶴羽社長 調剤戦略では、25年5月期に調剤売上高1400億円、調剤店舗数1170店舗を計画している。主に併設調剤を中心に開局スピードを上げていく。今期は119店舗の開局の計画に対して上期実績は60店舗であり、ほぼ計画どおりで進んでいる。こちらも開局した後の早期認知度アップが重要な課題なので、ドラッグ部門との連携を強化して、より早い立ち上がりをめざしていく。

 またオンライン服薬指導のシステムは、すでに大部分の店舗に導入済みだ。今後、全店導入に向けてしっかり準備していく。オンライン服薬指導の枚数は0.02%と、全体に占める割合はまだまだ少ない状態だが、今後は増えていくのは間違いないと思っているので、しっかり対応と準備はしていく。

PBは価格戦略品も開発

 鶴羽社長 PB商品戦略については、25年5月期にPB売上構成比12%を目標にしている。23年5月期の期初は9.1%からスタートして、上期終了時点で9.5%まで高まった。PB商品は、差別化、オンリーワン商品、または今後の環境配慮型商品などの付加価値商品を中心に開発していく。

 一方で、物価高騰による商品の値上げ等も続いているから、PBでの価格優位性も保っていきたいと考えている。ナショナルブランド(NB)商品と品質同等で安い商品、粗利益率改善品、NBでなくてもいい商品など、価格戦略品を付加価値商品と一緒に開発し、PBの価格優位性も保っていきたい。

 また、今後のPB拡大については、食品強化は必須だと考えている。われわれはまだ食品に関してはやり切れていないので、今後、強化していく方針だ。

 DX戦略についてだが、顧客接点拡大のためのアプリ会員獲得の取り組みを継続していく。現在のアクティブ会員は1490万人、ダウンロード数は697万人。今期の目標は750万ダウンロードだ。

 現在、われわれは新たな顧客データベースを構築中だ。今までバラバラに存在していたID-POSのほか、販促内容や決済方法などの顧客情報を集約し、さまざまなデータ分析を開始している。データ分析によるアプリ会員に向けた販促施策も実施しているところだ。来店頻度を上げる施策を何パターンか行っているので、今後は精度を上げて、成功パターンを自動化していくのが当面の目標だ。