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イオン、セブン&アイ、20年度決算分析&来期の戦略解説!

国内小売業界2強のイオン(千葉県/吉田昭夫社長)とセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)の2020年度本決算が発表された。巨大コングロマリットである両社では、食品スーパー(SM)など一部事業は好調だったが、コロナ禍がマイナスに影響した事業が多く、連結決算では売上・利益ともに計画よりはプラスだったものの、イオンは最終赤字、セブン&アイは2ケタの減益となった。

イオンの「SM事業」は営業利益2倍超

SMやドラッグストアが大幅に業績を伸ばした一方、総合スーパーやショッピングセンターが苦戦。金融事業も海外のロックダウンなどが影響し業績が落ち込んだ。

 イオンの21年2月期連結業績は、営業収益が対前期比0.0%減の8兆6039億円、営業利益が同30.1%減の1505億円、経常利益が同32.6%減の1388億円、親会社株主に帰属する当期純損失は710億円だった。

 セグメント別の業績をみると、コロナ禍でも生活必需品を提供する場所としてSMやドラッグストア(DgS)が大幅に業績を伸ばした一方、外出自粛や臨時休業・営業時間短縮の影響を受けた総合スーパー(GMS)やショッピングセンター(SC)が苦戦。金融事業も海外のロックダウンなどが影響し業績が落ち込んだ。

 「SM事業」の営業収益は同1.3%増の3兆2656億円、営業利益は同135.7%増の506億円で、増収・大幅な営業増益となった。1年を通して内食需要の高まりが続き、売上が伸長。なかでもダイエー(東京都/近澤靖英社長)は07年度以来の最終黒字を達成した。

 「ヘルス&ウエルネス事業」の営業収益は同8 . 9 % 増の9 5 6 5 億円、営業利益は同16.6%増の415億円だった。ウエルシアホールディングス(東京都/松本忠久社長)は地方DgSや調剤薬局のM&A(合併・買収)を推進しているほか、120店舗の新規出店、102店舗の改装を実施。店舗網拡大に加え、先行投資として需要拡大が想定される調剤薬局にも注力しており、調剤薬局併設店舗数は前期から201店舗増え1638店舗となった。

 「GMS事業」の営業収益は同0.0%減の3兆695億円、営業損失は156億円だったものの、中核企業のイオンリテール(千葉県/井出武美社長)では経営体質の強化を推進。在庫高が20年2月期末比で約2割減少したほか、販促の見直しや決済サービス「どこでもレジ レジゴー」・セミセルフレジの導入店舗拡大、オンライン会議の推進などによって本社経費は対前期比21%減、既存店舗の経費は同5%減など、いくつかの指標で改善がみられた。

 また、「GMS事業」では、コロナ禍での消費行動の変化にも対応した。家庭でのフィットネス関連用品を販売する「スポージアム」を約350店舗に、ネットスーパー実施店舗を200店舗に拡大。ネットスーパー実施店舗では、店舗での受け取りサービスを全店で導入した。

 財務担当責任者の宮崎剛氏は、

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