2019年度の食品卸業界の市場規模は2年ぶりに縮小。大手10社による占有率は昨年よりも微増でランキングに変動はなかった。コロナ禍では主要取引先である小売業界が絶えず変化するなか、食品卸各社は卸事業にとどまらず新たな事業に活路を見出し始めている。
食料・飲料卸販売額が10年ぶりに減少
経済産業省が公表している「2019年商業動態統計年報」によると、2019年の「農畜産物・水産物卸売業」「食料・飲料卸売業」の合計販売額は、対前年比1.8%減の72兆9380億円。初の70兆円超えを達成した17年以来、食品卸の市場規模は2年ぶりに縮小するかたちとなった。
それぞれの項目を見ると、「農畜産物・水産物卸売業」の年間販売額は、前年と比較してほぼ横ばいの23兆6630億円。「食料・飲料卸売業」の年間販売額は、同2.5%減の49兆2750億円だった。食料品の輸入減や国内向け販売の減少などにより、10年ぶりの減少となった。
大手10社による占有率は約15.9%で昨年よりも0.5ポイント増加。ランキングの顔ぶれに変化はなかった。食品卸各社の主要取引先である小売業では、コロナ禍で特需の恩恵を受けた食品スーパーやドラッグストアが好調な一方、コンビニエンスストアは都市部の店舗を中心に苦戦が続くなど、業態によって明暗が大きく分かれた。そうしたなか、食品卸各社ではデジタルトランスフォーメーション(DX)支援など、卸事業にとどまらず新たな事業に活路を見出し始めている。
DX関連の事業に取り組む企業も
業界トップの三菱食品
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