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富士フイルム、今年度内にアビガン200万人分の納品完了予定

富士フイルム
5月22日、富士フイルムホールディングスが発表した2020年3月期(前期)の純利益(米国基準)は、前年比9.5%減の1250億円だった。売上高は同4.8%減の2兆3151億円、営業利益は同11.1減の1866億円となった。。写真は都内で2017年6月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 22日 ロイター] – 富士フイルムホールディングスは22日のオンライン決算会見で、新型コロナウイルス治療薬候補「アビガン」について、政府の追加備蓄要請である200万人分の納品を2020年度内に完了する予定だと発表した。現時点で約70万人分の備蓄がある。4月から増産を開始しており、今後、段階的に生産能力の向上を目指す。

「アビガン」は富士フイルム富山化学が開発した新型インフルエンザの治療薬。日本医師会の有識者会議は18日、同治療薬の明確な有効性は示されていないと発表し、科学的根拠が十分でない候補薬を承認すべきではないと懸念を示した。

富士フイルムの岡田淳二・取締役医薬品事業部長は「臨床試験で新型コロナに対するアビガン錠の有効性と安全性を確認することで治療薬としての承認取得を進めていく」と述べた。具体的な承認の申請時期については「今まさに規制当局と調整、協議している段階。いつ頃かは控えさせていただきたい」と語った。

同時に発表した2020年3月期(前期)の純利益(米国基準)は、前年比9.5%減の1250億円だった。売上高は同4.8%減の2兆3151億円、営業利益は同11.1減の1866億円となった。

部門別にみると、「ヘルスケア&マテリアルズ」部門の営業利益は、同5.3%減。新型コロナ感染拡大を受け回診用X線撮影装置などの販売は伸長したものの、病院への営業活動自粛や商談の遅延が発生した。「イメージングソリューション」部門は、新型コロナの影響による中国工場の稼働率低下や小売店の休業により、同51%減と大幅に落ち込んだ。

期末配当は、従来の予想通り47円50銭とした。

21年3月期(今期)の業績・配当予想は未定とした。新型コロナが世界規模で拡大している影響により、現時点で合理的な算出が困難であるため。

リフィニティブがまとめたアナリスト12人による純利益予想の平均は1666億円となっている。