[東京 19日 ロイター] – 総務省によると、2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.9で、前年同月比0.6%上昇した。38カ月連続のプラスとなったが、1月の同0.8%上昇から伸び率はわずかに鈍化した。ロイターの予測中央値もプラス0.6%だった。
電気代や都市ガス代の下落幅が拡大したほか、ガソリン価格の上昇幅が縮小したことが、指数の押し下げに寄与した。総務省は基調判断について「ゆるやかな上昇傾向にある」と、これまでの判断を据え置いた。
総合指数は102.0で、同0.4%上昇。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は101.8で、同0.6%上昇だった。
エネルギー全体では前年同月比0.2%下落で、2カ月ぶりにマイナスに転じた。
コアCPIの上昇、下落を品目でみると、上昇に最も寄与したのは生鮮食品を除く食料で、すしなどの外食(同3.1%上昇)。続いて自動車等関係費(ガソリン)の交通・通信(同2.6%上昇)、住居の設備修繕・維持(同4.9%上昇)だった。
下落した主な品目は、光熱・水道などの電気代(同3.2%下落)。電気料金には数か月前のエネルギー価格が反映されるが、米中貿易摩擦の影響で19年9-10月頃の原油価格が下落したことが、2月の電気料金の価格下落につながった。
授業料等(同12.4%下落)、他の諸雑費(同12.5%下落)なども下落した。昨年10月から幼児教育・保育の無償化が始まったことが影響している。
全品目では、上昇は397品目、下落は106品目、20品目は変化なしだった。
新型肺炎の感染拡大を受けて、一部の品目・費目には影響が出ている。需要の高まりを受けてマスクの価格は前年同月比3.7%上昇。一方、中国が1月末に団体旅行のキャンセル要請を出したことで訪日客が減少するとの見方から、宿泊料は同3.1%下落した。
総務省幹部は、2月の消費者物価指数について「一部の品目に(新型肺炎の影響が出た)可能性はあるが、全体の数字としては大きな影響は出ていない」と指摘。
ただ、政府が全国の学校に休校要請を出したことで、学校給食に使用する予定だった食料品などの価格が足元では大幅に下落している。総務省幹部は、食料品に限らず幅広い業種に新型肺炎の影響が出ており、今後の予測は難しいと言及し、「(食料品などの価格の)数字の動向を引き続き注視したい」と警戒感を示した。
大和総研・山口茜研究員は今回の結果を「全体として弱い数字になった」と評価。今後の見通しについては「新型肺炎の影響で世界的に需要が低迷する中で、日本経済も大きく落ちこむだろう。とりわけ、原油価格の下落などでエネルギー価格が下落している影響が今後のコアCPIの上昇傾向が鈍化するのではないか」と指摘した。