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2月ロイター企業調査:五輪による事業停滞懸念も、対策検討は3割

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2月ロイター企業調査によると、夏の東京五輪開催に伴う物流停滞やコスト上昇への懸念の声は広がっているものの、業務の円滑継続へ対策を検討している企業は3割にとどまった。写真は都内で17日撮影(2020年 ロイター/Athit Perawongmetha)

[東京 18日 ロイター] – 2月ロイター企業調査によると、夏の東京五輪開催に伴う物流停滞やコスト上昇への懸念の声は広がっているものの、業務の円滑継続へ対策を検討している企業は3割にとどまった。

一方で、東京周辺の需要減や事業の停止などが収益に影響したり、人手不足の深刻化を懸念する声も目立つ。在宅勤務を行うテレワークは現状で8割が導入しておらず、五輪中の実施予定も3割に届かない。

この調査は1月30日から2月12日までの期間に実施、調査票発送企業は502社、回答社数は240社程度だった。

企業が予想している業務への影響では「物流停滞が予測され、業績にも少なからず影響が出る」(卸売)といった声が相当広がっている。

こうした課題に対策を講じている企業では「顧客に事前納入を依頼」(紙・パルプ)や「配送時間の早朝・夜間への切り替え」(鉄鋼)「東京への出張禁止」(精密機器)「夏季休暇の前倒し」(その他製造)などが挙げられている。

影響は物流にとどまりそうにない。「人手不足が深刻で収益に影響が出そう」(機械)「建築工程の遅延による売り上げ減少、原価増加に伴う利益減少」(建築)など、コスト上昇要因もありそうだ。

さらに、サービス業からは「ブライダル関連の受注減少など営業機会の損失を懸念している」や「東京周辺の需要は五輪期間中ほぼ無いものと想定している」など、首都圏での需要の消失が避けられないとの見通しもある。

しかし、こうした五輪開催中に起こり得る課題を踏まえて、業務の円滑な継続へ向けて何らかの対策を講じる予定の企業は3割にとどまっている。

働き方改革の一環として、五輪期間中の交通機関や道路の渋滞への対策につながるテレワークの導入に関しては、企業の間で広がりは見えない。

現状、在宅勤務を行うテレワークの導入を全く実施していない企業が8割超を占め、夏の東京五輪期間中でも検討する予定がないとの回答が7割を超えた。

首都圏での業務が少なく「必要がない」(輸送用機器)という企業も多いほか、「小売りなのでテレワークにはなじまない」という業種もある。さらに「得意先やグループの調整ができていないから」(紙・パルプ)や「運用が難しく、導入が困難」(食品)などの業務体制の問題のほか、「IT環境や業務ルールが整っていない」(卸売)といった環境整備が先との声も目立つ。

一方で、五輪期間中について新たに検討しようという企業は14%、これまで実施している企業の13%と併せて27%となる。その半数近くが期間を通して、製造部門を除くほとんどの部署で実施を予定している。