[東京 12日 ロイター] – 日銀が12日に発表した5月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比でプラス0.7%となった。プラスは29カ月連続で、4月に比べて上昇幅は大きく縮小した。米中貿易摩擦が再燃したことで、非鉄金属やスクラップ類などの押し下げ要因となった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値も前年比プラス0.7%だった。5月の指数は101.8。
前月比はマイナス0.1%で、4カ月ぶりにマイナスに転じた。
4月には進捗が期待された米中貿易協議は、5月に入って一転した。協議の先行きも不透明になり、商品市況は下落。このため、銅などの非鉄金属が前年比6.2%下落(4月は2.8%下落)、スクラップ類は同9.9%下落(4月は3.5%下落)へと下落幅を拡大させた。
日銀では「昨年後半以降、企業物価指数は米中貿易摩擦に対する市場の見方に大きく振らされる展開が続いている。今後も最も重要な決定要因になる」(幹部)としており、米中貿易協議の行方やそれを受けた世界経済動向を注視するとした。
「石油・石炭製品」は4月のプラス4.1%から5月はプラス1.1%へとプラス幅を縮小した。5月中旬からは原油価格が下落しているが、ガソリンなどの価格に現れるにはラグがあるため、今月の統計には反映されていない、という。
公表744品目のうち、前年比で上昇したのは389品目、下落は271品目だった。上昇と下落の差は118品目で、前月から21品目減少した。
(清水律子)