ニトリホールディングス(北海道/白井俊之社長)の創業者、似鳥昭雄会長の景気予想はよく当たる。2020年はどのような年になるのだろうか。4月8日の同社の本決算説明会で似鳥会長が話した内容をまとめた。
大胆予想①
今年以降消費は冷え込む
景気は2018年11月、12月くらいから消費が落ち込んできているように思います。約120社の流通・小売業の統計を毎月見ていますが、去年の年末あたりから下がってきているというのは事実です。
2018年の前半は(対前期比で)上昇している企業が多くあり、55対45くらいで前期比を上回る企業が過半数を占めていました。それが11月くらいから逆になり、下回る企業が増えてきています。
では2019年はどうなのでしょうか。このような傾向がそのまま続くのではないかと思います。消費税が10月に上がるということもあり、お客さまも買物を抑える、様子を見ようという傾向が強くなるのではないかと思います。
大胆予想②
寡占化が進み、企業間格差が広がる
景気が下向けば下向くほど、寡占化が進むということです。
わが社が急成長したのも、消費が冷え込み、リーマンショックなどがあり、寡占化がどんどん進んだ時代でした。自社での商品開発や、価格を下げていくことができる企業に集中していきます。その代わり、中小、大手を問わず、それ以外の企業は売上を減らすことになります。つまり、企業格差が出てくるということです。
私たちは景気後退期時こそチャンスととらえています。大きく既存店をプラスに持っていけるわけではないですが、それ以上にほかの企業がマイナスになります。つまり、われわれのシェア率を増やしていくことができます。とくに今回、地方都市の場合よりその傾向がはっきりしています。家具の同業者で廃業するところも増えています。
ニトリの家具の売上高構成比は37%ほどで、毎年減っていますが、家具そのものの既存店は前期を上回っています。一般的にはマイナス成長ですが、逆にわれわれにとってはチャンスです。
大胆予想③
オリンピック景気は2年前に終わった
去年までは、おそらくありとあらゆる業界で、仕事がありあまっている状態でした。建設関係もそうですが、腹いっぱいという感じ。しかし、今年はちょうどいいくらい。来年からは足りないという状態になってくるので、来年のための営業活動をする必要があります。
来年2020年は東京オリンピックです。東京オリンピックに限らず、オリンピックのときはすでに不景気が始まっています。ほとんどオリンピック景気は前の前の年で終わっています。前の年で不景気の兆しが出て、その年ははっきりマイナスになる、というのが経験法則ではっきりしています。
大胆予想④
米中欧も景気後退期に
ドル安円高へ
世界経済を見ると、アメリカは雇用が増えていますが、住宅市場が新築、中古も含め、去年の秋あたりから減ってきています。アメリカも夏前後くらいから(不景気を示す)指標が出てくるのではないかと思います。
そのときには為替がドル安、円高に動くのではないでしょうか。
中国は年間成長率の目標を6.2%としました。これは「もう下がる」という目標の立て方です。去年よりも今年の方が多少悪いだろうということ。
アメリカと中国、EUの三極。それにつられて、日本もちょうどマイナス局面に差し掛かっている、ということです。
大胆予想⑤
建設費用は3年後に半分に
ニトリではこのときのために、商品の開発、品質、安さを一昨年くらいから準備をしてきました。3年間は準備期間。来年、再来年、業界全体ではマイナス傾向になると思います。わが社にとってはチャンスです。
今、建設費用も2倍になっています。おそらく3年待てば半分になると思います。われわれも目黒など、都心に土地を買っていますが、建築は我慢して待っています。
今まさに準備している段階です。