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データで見る流通
2016年、食のトレンドキーワードは「シェアしたくなるビジュアルや名前」

文=中村 耕史

クックパッド トレンド調査ラボ調査室長・たべみる事業責任者

 

 日本最大の料理サイト「クックパッド」は、「どういったものを食べたいか/つくりたいか」という大量の検索データを分析できる「たべみる」サービスを法人向けに提供している。本稿では、2015年の食に関するブームを振り返りつつ、直近の検索データから16年の潮流を予測してみたい。

 

 「たべみる」では、検索1000回当たりの検索頻度を表すSI(Seach Index)値という独自の指標を用いてデータ分析をしている。「クックパッド」で最も多く検索されている単語は「簡単」(SI値68)、「キャベツ」(同19)、「豚」(18)が続く(いずれも14年)。メニューで最も多く検索されているのは「サラダ」(同15回)である。

 

 このSI値をもとに、検索で伸びているキーワードを、年2回、ヒット番付としてまとめたのが「おうちごはん番付」である。

 

 15年下期の「おうちごはん番付」(図表1)にランクインした多くに共通するのは「好きな素材が使える」「シェアしたくなるビジュアルや名前」などである。「facebook(フェイスブック)」、「Instagram(インスタグラム)」、「Twitter(ツイッター)」などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への写真投稿などを通じて、見た目の華やかさなどを人と共有する楽しさも、人気の広がりの背景にあったと考えられる。

 

 

 横綱には、家庭における定番メニューになりつつある握らないおにぎり「おにぎらず」と、ココナッツオイルやチアシードといった「スーパーフード」を選定した。大関から前頭にかけては、盛り付け方や調理器具・雑貨に関連したキーワードが多く入っている。

 

 たとえば、そのまま食卓に出せる小さなフライパン「スキレット」、茹でたまま食卓に出せる「ワンポットパスタ」、土鍋を使う「ひとり鍋」「土鍋プリン」などがある。アボカドやカマンベールチーズを皿に見立てた「ココット」、成形と揚げる手間が省けるうえに見た目も楽しいグラタンのような「スコップコロッケ」、翻訳家の村井理子さんのInstagram発でブレークした、野菜とお肉をテキスタイルのように色鮮やかに鉄板に並べて焼いた「ぎゅうぎゅう焼き」といったものも注目を集めている。

 

 また、健康・美容分野では、デトックスウオーターに次ぐ「デトックスープ」、「凍りこんにゃく」「グルテンフリー」も選定している。

 

 16年は引き続き、「シェアしたくなるビジュアルや名前」であることを前提としつつ、野菜をしっかりとれるような「ちゃんとしている感じ」や「定番だけど新しさがある」ものに注目をしている。

 

 「定番だけど新しい」というのは、たとえば先にあげたような「スコップコロッケ」、餃子の餡を使用した「餃子丼」、ドイツ風パンケーキ「ダッチベイビー」といったものだ。

 

 また、スーパーフードの中では、「サイリウム」「ココナッツシュガー」といったキーワードの検索回数が継続的に増加しており、16年にブレークするかどうか注目している(図表2)。

 

 

 

(「ダイヤモンド・チェーンストア」2015年12/15号)