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カインズ、インドの露天商に学ぶ、顧客ロイヤリティを高める「真実の瞬間」とは

買い物客でにぎわうスーパーと接客をする従業員
現場でお客とコミュニケーションをとることの重要性は不変(写真は本文とは関係ありません)

インドの露天商がやっていける理由

 数年前、ミャンマーへ行った際に驚愕した。道端には無数の露店と屋台。異様ともいえる活気に満ちあふれ、雑貨から飲料、タバコまで何でも揃う。その後に出向いたインドの地方部でも似たような景色が広がっていた。そのとき、私が貧乏学生だった20年以上前に東南アジアを旅した際の記憶が蘇った。そこではすべてが現金払いで、各店の売上実態は不明のため徴税は困難を極めるだろうな、などと思ったものである。

 ところで、ミャンマーにもインドにも、大規模なショッピングセンター(SC)は存在する。西洋的なSCと、地元密着型の露店が近接する図はいかにもアジア的な光景である。しかしそこで興味深いのは、SCが登場しても、さほど露店や屋台のシェアは減っていないように見えたことだ。インドではそうした零細商店を「キラナショップ」と呼ぶが、コロナ禍でも勢力を失うことなく健在。遠出が憚られる時期にあって、地域に密着したキラナショップはむしろ存在感を増しているようだ。

 インドを訪れたとき、さらにおもしろかったのは、SC内にいかにも露天商と思しき“珍客”がいたことである。意を決して聞いてみると、偵察や視察ではなく、地方部から商品の仕入れにやってきたというのだ。サプライチェーンが未成熟な国では、さまざまな商品を安定的に扱うSCそのものが、貴重な仕入先と化していたわけだ。

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