一度の延期を経て、ついに上場を果たしたトライアルHD。グループを率いる同社のトップである亀田晃一社長は、足元の経営環境をどのようにとらえ、今後の成長戦略をどのように見通すのか。トライアルにとって歴史的節目となった上場翌日、単独インタビューに応えてもらった。
生鮮強化が結実し、既存店の高成長を実現
──経営トップとして、市場からの評価を含め、株式上場を率直にどのように受け止めていますか。
亀田 経営環境が日々大きく変わるなかで、われわれとしてはさまざまな領域や物事への投資チャンスが広がっていると考えています。新しいチャレンジをするためには新しい人材や新しいパートナー企業も必要になってきます。
そうした点で、上場というのは可能性のある事業や取り組みに投資をしやすくなるし、人材確保や外部企業とのさらなる提携を広げていくうえで、信頼を得られやすくなる重要なイベントだと認識しています。
株価については市場の評価ということで真摯に受け止めて、企業価値を着実に上げていくのが、経営者である私の役割だと考えています。
──小売事業の直近の業績を見ると、既存店の好調ぶりが目立ちます。その要因をどのように分析していますか。
亀田 2015年頃から生鮮食品を強化して既存店売上高を伸ばすことに注力してきました。それが実を結び始めたのがちょうどコロナ禍に入ったときでした。そのタイミングで生鮮の評価が得られたことで“コロナ特需”をフルに享受でき、さらにグループ会社の明治屋(福岡県/大塚長務社長)が手掛ける価格・品質の双方を追求した総菜の支持も高まったことで、生鮮を中心に集客できる体制が整いました。これが足元の力強い売上伸長につながっていると考えています。
──全国規模で店舗展開するなかで、生鮮に関しては各エリアでの調達力をいかに高めるかがカギになります。その点はどのように取り組んでいますか。
亀田 食品
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