店舗事業の規模が全国の生協でトップクラスのコープさっぽろ。1998年の経営破綻を経て、改めて食へのこだわりを追求したフォーマットへの改革を図り、事業を存続。近年は需要の高まる総菜の強化や、「無印良品」との共同出店店舗の開発、地方で成り立たなくなった食品小売店の承継などを進めており、人口減が進む北海道でさらなる成長を実現しようとしている。
食の提案に回帰した「おいしいお店」で再建へ
コープさっぽろの店舗事業の2023年度の供給高は1983億円で、生協では全国トップの規模を誇る。道内店舗数は、同じく道内の主要チェーンであるアークスグループは219店、イオン北海道は同127店(※)で、コープさっぽろはこれに続く109店(いずれも23年度末)。29店を展開する札幌市を中心に、道内の28市20町に店舗を展開している。
※「まいばすけっと」「イオンバイク」の計43店を除く
コープさっぽろは、創立元年である1965年に札幌市内の2店から店舗事業をスタートした。その後、最も多い時期で200店ほどまで店数を増やすも、80年代になると大手小売チェーンが北海道に進出してきたのに対抗し、店舗を大型化。衣料品や電化製品にまで品揃えを広げ、その結果、食品の提案力の低下や店舗の運営効率の悪化を招く。こうした店舗事業の不振も一因となり、コープさっぽろは98年に経営破綻した。
経営破綻直後は、より収益性の高い宅配事業を強化する方針をとるも、組合員の生活に根づいた店舗事業をなくしてしまうことができない。店舗本部長の大前嘉騰氏は「大規模な人員整理が行われ組織力も低下していたが、残った職員たちが再建への強い想いをエネルギーに変え、店舗事業の立て直しを推進していった」と当時を振り返る。
事業再建では、まずは
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