34期連続で増収・営業増益を遂げ、多くの同業他社からベンチマークされているヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)。同社の食品における商品政策(MD)は、商圏内のさまざまな層、世帯の多様なニーズに対応する方針を掲げる。実際に店舗ではどのようにMDを実践しているのか。食品スーパー(SM)におけるコンサルティング実績が多数あるアイダスグループ代表の鈴木國朗氏が分析・解説する。
※調査日は2023年11月8日(文中の商品価格はすべて本体価格)
競合が多いエリアで年商目標は21億円
まず、ヤオコーの直近の業績である2024年3月期上半期(4~9月)決算の内容を振り返ろう。ヤオコー単体の売上高は対前年同期比8.9%増の2638億円、営業利益は同22.6%増の174億円だった。
前期(23年3月期)まで34期連続で増収・営業増益を続けるヤオコーだが、前期の既存店売上高は1品単価の上昇でなんとか前年をクリアした状況だった。ところが今上期は単価の上昇だけではなく、客数も同2.9%増と伸長させている。
店舗間競争が激化するこの局面で、なぜヤオコーは客数を伸ばせているのか。ヤオコーのMDを分析するべく、今回の調査では、23年8月に建て替えオープンした「ヤオコー深谷上野台店」(埼玉県深谷市:以下、深谷上野台店)を訪れた。
同店はJR高崎線「深谷」駅から南西へ約820mの場所にある。商圏に設定する店舗から3㎞圏内では、居住者のボリュームゾーンは40~50代で、その後70代が続く。世帯人数は1~2人が多く、少数世帯の割合が高い。競合店としては、至近に「スーパーオザム深谷店」「オリンピック深谷店」、3km圏内には「ベルク深谷稲荷町店」「ベイシア深谷国済寺店」「トライアル深谷店」などがあり、競争の激しいエリアだ。
深谷上野台店の売場面積は552坪。今回の建て替えでは、需要の高まる総菜売場を拡大し、改装前の2割増となる年商21億円の達成をめざしている。
取り扱いSKU数は合計1万3840と、充実した品揃えを提供。売上高構成比は、
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