ここ数年、食品小売における“安売り”の最前線にいるのがロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)だ。今年もロピアの出店スピードは衰えることがなく、名古屋1号店、九州3~4号店など2023年後半戦も注目店舗の出店が続く。本稿では、23年10月にオープンしたばかりの「ロピア加古川ヤマトヤシキ店」(兵庫県加古川市:以下、加古川店)の売場づくりをレポートするとともに、周辺の競合店との価格調査でロピアの「安さ」を確認してみた。
(調査日:2023年10月14~16日) ※本文中の価格はすべて本体価格
駅前の百貨店内、地下1階部分に出店
ロピアが10月6日に出店した加古川店は、JR山陽本線「加古川」駅からすぐの場所にある。百貨店「加古川ヤマトヤシキ」の地下1階、生鮮食品売場の跡地に居抜き出店した。
加古川ヤマトヤシキは、2000年末に閉店した「加古川そごう」を地場百貨店が引き継ぐかたちで01年に開業した。その後、売上が回復した時期もあったが、郊外への大型ショッピングセンター(SC)の進出などもあって近年は売上が低迷。19年には運営会社が総合免税店のラオックスホールディングス(東京都/矢野輝治社長)の傘下に入り、再生を図ろうとしていたようだ。そうしたなかで、これまでも多くの不振SCに出店し、驚異的な集客力を発揮してきたロピアに声がかかったのは自然な流れともいえる。
ただ、百貨店内での売場づくりはロピアも相当苦労したとみられる。天井高が低いうえ、柱が多く、エスカレーターとエレベーターもSMに適した配置とはとてもいえず、多くの制約の中での売場づくりとなったのは間違いない。最終的に、下りのエスカレーターをつぶすかたちでのオープンとなったようだが、営業時間中は年配のお客が入口を探している様子が散見された。
だが、それでも平日の早い時間から店内は常時混雑状態で、ロピア出店が施設全体に活気をもたらしている。同じ施設内にある宝くじショップや、駅前のコーヒーチェーンのスタッフに話を聞くと、ロピアが進出して以来、「加古川」駅前は人流が増え、売上も好調に推移しているという。加古川市から30㎞近く離れた兵庫県西脇市から来たというお客もいるなど、あらためてロピアの広域集客力には驚かされる。
構造上の制約多数もロピアの世界観を表現!
売場を見ていこう。
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