その収益性の高さと成長性から業界内で常に注目される有力食品スーパー(SM)のベルク(埼玉県/原島一誠社長)。値上げ、コスト上昇局面にあってもその勢いは衰えることなく、商勢圏で強い存在感を放っている。なぜ、ベルクの店は強いと言われるのか。流通業向けの現場改善コンサルティングなどを手がける榎本博之氏に、2023年にオープンした同社最新店の売場を解説してもらった。※本文中の価格はすべて本体価格
ベルク厚木船子店
売場に見た「強さ」の源泉
- 「何で売り」「何で稼ぐか」をカテゴリーごとに明確化
- 「標準化」+「意外性」を重視した売場づくり
- 愚直なまでのロスに対する高い意識
厚木市初出店!購入への安心感を訴求
ベルクは2023年2月22日、神奈川県内7店目、厚木市内では初出店となる、「ベルク厚木船子店」(以下、厚木船子店)をオープンした。大規模小売店舗立地法に基づく、申請時の店舗面積は2271㎡。出店地は小田急電鉄小田原線「本厚木」駅から約2㎞、クルマで10分弱の距離にある。国道246号線沿いにあり、県道603号線からの合流があるため絶えず渋滞が発生している。隣接地には、ホームセンターの「ケーヨーデイツー厚木店」が店を構える。
競合店としては、半径1㎞圏内にイオン(千葉県/吉田昭夫社長)系の「ザ・ビッグ」、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)系の「ヨークフーズ」「ヨークマート」があるが、アクセス面から考えると直接の競合は「ヨークフーズ南毛利店」くらいである。また、1㎞ほど離れたところに、農産直売所の「夢未市(ゆめみいち)」があり、鮮度のよさから高い集客力を有しているようだ。
神奈川県ではまだ店舗数が少ないこともあって、厚木船子店の売場づくりにおいては、ベルク自体の知名度向上、訴求に重点が置かれている。たとえば、入口のカート置場には「絶対満足宣言 レシート提示で 返金保証」と記したペナントを掲示。品質のよさをまず体験・体感してもらうべく、購入への安心感を高めるために返金保証を明確に打ち出している。ちなみに売場内でも同様の掲示が見られた。
こうした取り組みもあってか、Googleの口コミを見ていても、鮮度に対しては「値段相応」の評価が中心となっているが、悪い評価はあまり見当たらない。来店、購入への最初のハードルを越えるきっかけとなっているのではないだろうか。
●青果
作業の標準化とロス対策を両立
ここからは主要各部門の売場を見ていこう。
まず青果の
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