一部の大型店で、生鮮や総菜を含む食品をフルラインで扱うクスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長:以下、クスリのアオキHD)。生鮮という食品スーパー(SM)の“聖域”を侵食しており、食品小売にとって意識せざるを得ない存在だ。そんな同社も昨今、調剤事業の強化・拡大を志向している。その背景と動向、そして課題とは。
今期中に計100店舗出店へ
「調剤併設率70%」──。クスリのアオキHDが2022年5月期からの5カ年の第3次中期経営計画「ビジョン2026」における重点施策の1つとして掲げたものである。
本誌でも幾度となく取り上げてきたように、同社は食品強化型ドラッグストア(DgS)の最先鋒ともいえる存在だ。大型店を中心に、日配や加工食品のみならず生鮮3品や総菜をもフルラインで展開。生鮮や総菜については一部青果を除きコンセッショナリーでの運営だったが、昨年から今年にかけてナルックス(石川県)、フクヤ(京都府)、サン・フラワー・マリヤマ(石川県)、スーパーまるも(茨城県)など、事業エリアの中小ローカルSMを次々と買収。生鮮の運営ノウハウを持つSMを傘下に収めることで、生鮮フルライン型店舗網の拡大にはずみをつけていた。
そうした流れの中、21年5月期決算説明会の場で青木宏憲社長が表明したのが、調剤併設店舗の比率を70%に引き上げるという戦略だ。食品強化の印象が強いクスリのアオキHDだが、すでに一部店舗で調剤事業を展開しており、従来目標としてきた併設率50%を超えているとみられる。その目標を70%に引き上げるというのだ。22年5月期は既存店を含め、計100店舗の開局を計画しているという。
背景として青木社長は、「上場DgS企業の調剤併設率の平均は30%程度で、当社でも現状は十分強力な武器となっているが、併設率上位2社と比べると見劣りする」と言及した。上位2社というのは、
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