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食品強化型ドラッグストアはどう動く? 前編 コスモス薬品とクリエイトSD

食品強化型ドラッグストア(DgS)の勢いが止まらない。コスモス薬品(福岡県)、クリエイトSDホールディングス(神奈川県)、クスリのアオキホールディングス(石川県)、Genky DrugStores(福井県)について、2021年通期決算説明会の経営トップの発言から今期の施策を把握したい。

コスモス薬品は調剤へ本格参入

 コスモス薬品の2021年5月期(連結)業績は増収増益だった。売上高、利益は過去最高を更新。自社競合を厭わない積極出店、「安い・近い・短時間」の顧客ニーズへの対応、調剤併設への本格的な参入により、小商圏マーケットでのシェア拡大を推し進める。

 さらに、2021年7月の通期決算説明会では調剤事業への本格参入を明らかにした。

 「調剤併設型店舗は21年5月末で10店舗まで増えた。このコロナ禍で、政府の規制改革推進会議の場や政治の世界でも、面分業を後押しする話が出てきている。いよいよ面分業の時代が始まると判断し、このタイミングで調剤薬局事業への本格参入に踏み切ることにした。世の中のニーズに合わせ、消費者のため、便利で喜ばれる店づくりをしていくのが当社の務めだと考えている。今期以降、毎期20~30店舗、調剤薬局を新設していく予定だ。新店で最初から調剤併設型店舗として出店することもあれば、既存店に薬局を併設する場合もある」(横山英昭社長)。

 また、2022年5月期は関東地区へ積極出店を進める方針だ。

 「22年5月期は、関東・中部・関西で70店舗、そのほかの地区で50店舗、計120店舗の出店を目標としている。関東地区は、これまでわれわれが地盤としてきた西日本に比べ家賃も高いが、その分、人口も多く所得も比較的高い。当社では、新規出店から3年間は赤字を見込んでいるが、ここまでの店舗を見る限りは、来店客数は非常に多く、立ち上がりも順調にきている。地域のニーズに合わせた商品をしっかり品揃えし、あらゆる商品が同じ価格で毎日安いEDLP(エブリデー・ロー・プライス)を実行していけば、確実にお客さまの支持を得られるのではないか。十分な手応えを感じ始めたところだ。また、関東の郊外は、出店可能な立地は十分にあると考えている。関東でも、当社が得意とする郊外型店舗をどんどん出店していきたい」(横山社長)。

クリエイトSDHDは2024年5月期に調剤併設率50%をめざす

 クリエイトSDホールディングス(以下、クリエイトSDHD)の21年5月期(連結)業績は3期連続の増収増益となった。22年5月期からは調剤併設のスピードアップ、食品強化型店など多様な出店によるドミナントエリアの高密度化により、地域シェアアップに取り組んでいく。

 21年7月の通期決算説明会では成長戦略を明らかにした。

 「まず、店舗への調剤併設の推進加速がある。24年5月期に調剤併設率50%をめざしており、今期は過去最高の調剤薬局50店舗の出店を計画している。この達成により、調剤併設率も39.5%を見込む。これまで調剤併設は年間20~30店舗にとどまっていたが、今期以降50~60店舗へペースアップする。高齢化が進行するなかで、地域での医療ニーズがますます高まっている。また、薬剤師の採用・教育が従来に比べてやりやすくなっていることもあり、このタイミングで調剤併設推進加速に舵かじを切ることにした。次に既存店の競争力強化だ。このコロナ禍において、ライフスタイルや購買行動が大きく変化しており、『ワンストップ&ショートタイムショッピングの実現』に注力する必要があると考えている。これらの関連で、今期は32店舗の既存店改装を計画している。大型化のための増床増築、専門性強化としての調剤薬局の併設、より便利な業態とするための生鮮業態との協業を進めていく考えだ」(廣瀬泰三社長)。

 さらに、生鮮食品も強化する方向だ。

 「今後の生鮮食品の本格的な展開には、コンセッショナリーとのタイアップ、生鮮融合の大型DgSの出店も進めていく。子会社化したSMの百合ヶ丘産業(神奈川県)とは、改装により複合型店舗を実現していきたい。また、ゆりストアで製造する総菜を、近隣のDgSで販売する試みをこの6月からスタートさせた。実績を見ながら、配送エリアや取扱店舗の拡大を考えていく」(廣瀬社長)。

 「現在、われわれの競争環境は、同業のDgSのみならず、SM、ホームセンター、ディスカウントストア(DS)等を巻き込んだものになっている。さらに調剤専門薬局との競合も厳しくなっている。当社の考えとしては、前々期実施したSMや専門薬局へのM&Aのように業態を広げたかたちで、場合によってはDSも対象に入れ、状況を見ながら積極的に対応していきたい。この10月には業界大手同士の経営統合があるが、ここまで、独自の経営理念、手法も単独で、独自に成長してきたわれわれが、同じような規模の大型連携に動き出すことは、基本的には考えていない。ただし、当社がマジョリティになるかたちで連携できる可能性があれば、前向きに検討していきたいと考えている」(廣瀬社長)。