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関西5号店は奈良県初進出!「ロピア ミ・ナーラ店」の売場を徹底解説

ロピア(神奈川県/高木勇輔代表)の関西5号店、「ロピア ミ・ナーラ店」(奈良県奈良市:以下、ミ・ナーラ店)が4月29日にオープンした。奈良県初出店となる同店ではどのような売場づくりをしているのか。
調査期間:5月29~30日 ※本文中の価格はすべて本体価格

ミ・ナーラの外観

関西エリアNO.1? クルマ対応型郊外大型店舗!

 ロピアが4月末にオープンした関西5号店は、JR「奈良」駅の東約1.5km、近鉄奈良線「新大宮」駅から約800mの場所にある。商業施設「ミ・ナーラ」の1階にオープンした同店。ミ・ナーラ」は、古代史跡「長屋王邸宅跡」に1989年に建設された百貨店「奈良そごう」に始まり、2003年に「イトーヨーカドー奈良店」として、2018年に現在の「ミ・ナ―ラ」として開業した経緯を持つ。「ミ・ナーラ」になってからは光洋(大阪府/平田炎社長)運営の「KOHYO新大宮店」が入居していたが、21年1月に閉店。その跡地にロピアが進出した格好だ。

 ミ・ナーラは、国営平城京跡歴史公園、奈良市役所に隣接しており、繁華街とも住宅街とも言えない少々特殊な立地にある。商業施設の面積は約3万5000㎡で、各階とも空きスペースが目立つが、ロピアが開店したことにより、来客数が飛躍的に伸びているのは間違いない。

 お客の動向、購買行動を観察していると、店内はクルマ対応型の郊外大型店の様相で、日曜の開店9時前にはクルマ約200台が駐車場で待機していた。オープンから1カ月が経過しているにもかかわらず、入店制限が行わるなど、開店時の勢いは失われていないようだった。奈良市に住む筆者の友人も「平日でも平面の第1駐車場は常に満車状態だ」と話しており、奈良在住のお客からの評判は上々であるようだ。

 奈良市の人口は約35万人。大阪市、尼崎市、寝屋川市と比較すると、人口密度は低いが、ミ・ナーラ店をみると関西1~4号店と遜色なく店内は常時混雑している。周辺に競合の食品スーパーはあるものの、ディスカウント系の店は少なく、ほかの店舗よりもミ・ナーラ店の商圏は広いと思われる。

ロピアミ・ナーラ店の売場フロア図

「生鮮一体型」の売場配置を採用!

 売場を見ていこう。ロピアの生鮮売場の配置は2パターンあり、

①「鶴見島忠ホームズ店」(大阪府大阪市)、「大阪ベイタワー店」(大阪府大阪市)で採用した入口から主通路で青果、精肉と売場を展開する「ワンウェイ方式」
②「寝屋川島忠ホームズ店」(大阪府寝屋川市)、「尼崎島忠ホームズ店」(兵庫県尼崎市)で採用した、生鮮4部門が一体となった「生鮮一体型」

 このミ・ナーラ店では②の「生鮮一体型」の売場配置を採用している(売場フロア図参照)。①のワンウェイ方式は、一般的な食品スーパーでは問題なく運用できるが、ロピアは主通路の両サイドに目玉商品を多数配置しているため、立ち止まる機会が多く、お客しばしば渋滞する。これに対し、②の「生鮮一体型」は各部門を一体化させることで回遊性が高まり、売場全体ににぎわいがもたらされる。ロピアとしては、この「生鮮一体型」の売場をめざしているように筆者の目には映るが、店舗の規模、あるい店舗の構造、立地などで使い分けていると見られる。ミ・ナーラ店の生鮮ゾーンは約180坪(歩測)で、青果・鮮魚・総菜・精肉の4部門が機能的に配置されている。部門別に売場を見ていこう。

●青果
目玉商品多数!万全の補充体制

 導入部の青果売場では、入口付近に20尺の冷蔵ケースを配置し、「長野県産高原レタス」(150円)を先頭に、「九条ねぎ」「小松菜」「ほうれん草」など京都府産の野菜のほか、奈良県の伝統野菜「大和まな」(100円)などを販売。果実では、熊本県産の「すいか(大玉)」(1000円)、茨城県産「クインメロン」「タカミメロン」(各490円)などを揃える。
主通路両サイドは、6段の多段什器を配し、壁面ではピーマンやニンジン、ネギ、大根など、平場では9尺の吊るし什器で、バナナ(1房4~5本100円)を販売する。平場も多段什器を多用しており、アボカド、キウイ、リンゴ、椎茸などを迫力あふれる陳列で並べている。平場エンドでは、目玉商品の「キャベツ(大玉)」(50円)を並べており、ほとんどのお客が購入していた。青果売場は作業場と一体となっており、売場内にも作業場が設けるなど、万全の補充体制を考慮した売場となっている。

●鮮魚
トッピング注文可能な海鮮丼を新規導入

 続く鮮魚売場は、壁面24尺のスペースで、マグロやウニをコーナー展開するほか、おなじみの寿司コーナーを設けており、「南竹9貫」(1100円)、「南松9貫」(1290円)、「南茜18貫」(2200円)、「南 牡丹40貫」(5000円)、「まぐろづくし9貫」(1200円)、「海産たっぷりちらし」(990円)などを販売。幅広い品揃えで、開店時から安定して売れており、商品もしっかりと補充されていた。

 新たな試みがみられたのは、「海鮮丼」コーナーだ。対面方式の売場を採用し、「海宝丼」(500円)を注文すれば、「いくら増し」(200円)、「うに増し」200円、「鯛茶漬け」(250円)、「全盛」(1200円)とさまざまバリエーションのトッピングメニューを楽しめる新コーナーを導入していた。日曜に店舗を訪れると、同コーナーは16時頃には売り切れとなっており、従来の海鮮丼売場に戻していた。

海鮮丼は、既存店では人気の寿司を補完する商品として豊富な品揃えで展開するケースが多かったが、ミ・ナーラ店は新たな試みとして対面売場でトッピングを楽しめるようにしている

●総菜
人気のピザは時間帯でメニューを変化!

 総菜は総尺数66尺と店舗規模を考えるとコンパクトな売場で、機能的かつシンプルな商品配置で、品揃えも絞り込んでいるようだ。

 総菜売場の軸となっているのが、壁面9尺で展開するピザコーナーで、厨房と売場が直結させ補充しやすい売場としているのが目を引いた。商品は、「ランチ」「ディナー」といった具合に時間帯でメニューを分け、価格も変えていた。たとえば、「ランチピザ」は「ウインナー&ベーコン」(400円)、「クアトロフォルマッジ」(450円)、「ベーコンポテト」(500円)など値ごろ感のある商品をラインアップ。一方、「ディナーピザ」は「黒毛和牛ピザ」「プルコギピザ」(各780円)、「ガーリックシュリンプ」(1000円)など、トッピングにこだわった商品をランチよりも少し上の価格帯で販売する。

 平台は、冷蔵ケース16尺を配置し、「サラダボウル(チキン)」(350円)、「(シーフード)」(400円)、「自社製ベーコン入りポテトサラダ」(100g100円)など各種サラダのほか、ロピアオリジナル商品「ベイクドチーズケーキ(ホール)」(1200円)を商品見本とともに販売。ほかと比べるとやや高価な商品だが、よく売れていた。

 常温の平台では、「豚バラ肉の焼肉Dish」(320円)、「骨までやわらかい鯖の味噌煮弁当」(380円)、「牛肉弁当(サーロイン)」(780円)など各種弁当を揃えるが、品揃えは絞っているようだ。弁当コーナーの隣には、「クロワッサンサンド」(180円)、「マンガ肉3個」(1000円)などを販売。ほかの食品スーパーでは一般的な「焼鳥」「おにぎり」「和総菜」の扱いがなく、インストアで製造可能な商品に品揃えを絞っているようだ。

弁当は「肉」を切り口とした商品がメーンで、時間帯あるいは曜日でメニューを変化させている。写真はご飯が別売りの弁当「Dish」シリーズ

 後編では、看板部門の精肉のほか、日配、加工食品、冷凍食品などの売場を見ていこう。

(店舗概要)
店名 ロピア ミ・ナーラ店
住所 奈良県奈良市二条大路南1-3-1
開店日 2021年4月29日
売場面積 約570坪(歩測)
営業時間 9:00~19:00
駐車台数 約1200台(モール全体)
アクセス 近鉄奈良駅からバス約15分