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マルイと共同運営!ネットショップによるリアル進出「SHIBUYA BASE」移転リニューアルのねらいは?

BASE(東京都/鶴岡裕太社長)は6月24日、丸井グループ(東京都/青井浩社長)と共同で運営する「SHIBUYA BASE」をリニューアルオープンした。BASEはネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」を運営する企業で、コロナ禍でのEC需要を受け、一気に加盟店を増やしている。ネットショップ開設事業が快進撃を続ける中、BASEが実店舗にも力を入れるねらいとは。

ネットショップがリアル店舗に挑戦する「SHIBUYA BASE」

 「SHIBUYA BASE」とは、ネットショップ作成サービス「BASE」に加盟している店舗が、期間限定での実店舗出店に挑戦できる出店スペースだ。2018年6月に「渋谷マルイ」1Fにオープンして以降、これまで累計170ショップがリアルでの出店に挑戦してきた。今回のリニューアルで、「SHIBUYA BASE」は「渋谷マルイ」1階から、同じく丸井グループの運営する「渋谷モディ」1階へと移転した。移転の理由について、丸井グループ執行役員 新津達夫氏は、「渋谷マルイは、レディスのアパレルや雑貨などのテナントで幅広い客層を持つのに対し、渋谷モディはアニメ、音楽、本、目的を持った来店が多く、ファンビジネスを意識した店舗展開をしているため」だと語る。

 また、今回のリニューアルのポイントを「小規模ブランドに合わせたスペース設計と、フード店舗の出店を可能にしたこと」と語るのはBASE上級執行役員COO 山村兼司氏だ。リニューアルでの主な変更点は、店舗面積を5坪から22坪へと拡大したこと、これまでニーズの高かったフードスペースを新設したことの2点。

 「アパレル・雑貨スペース」と「フードスペース」を設けることで相互の送客を見込んでおり、将来的にはコラボレーションなども想定している。フードスペースは当面テイクアウトのみの対応で、日本最大級の食特化Webメディア「macaroni(マカロニ)」の協力を得て運営する。ニーズの増えている飲食カテゴリの販促をサポートしていくねらいだ。

「実店舗で営業したい」ニーズに応える

 ネットショップ作成サービス「BASE」の強みは、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作れることにある。コロナ禍でECが注目を浴びた背景もあり、2021年5月には加盟店数が150万を突破、その内50万ショップが直近1年以内に開設されている。加盟店に特徴的なのは、その約72.1%が1人で運営しているということと、実店舗を持たずネットショップのみを運営しているケースが多いということだ。

 しかし、認知向上や新規顧客開拓のために実店舗を出店したいというニーズは根強い。この問題を解決するのが「SHIBUYA BASE」というわけだ。「SHIBUYA BASE」は、什器や機材などを無料で利用できるほか、丸井グループによる販売のノウハウやアドバイスなどを受けることもできる。これまで出店した加盟店からは、「渋谷の一等地に出店できるとは思わなかった。店舗のレイアウトやセールスのサポートをしてもらえて助かったという声が多い」と新津氏は語る。さらに、出店時の初期費用や固定費用等は不要で、商品の販売額に応じた手数料のみでリスクなく出店できることも特徴の一つだ。今回のリニューアルに合わせ、加盟店のリスクをより軽減するため、期間限定で無料での出店を可能にした。

 メリットの多い「SHIBUYA BASE」への出店を希望する加盟店は多く、「SNSでの人気が高いことや、コアなファンが多く成長が強く見込めるかどうかなどの観点で、実際に出店するブランドを選んでいる」(山村氏)。出店店舗は1週間単位で入れ替わっていき、今後半年間で30店舗以上の出店を見込んでいる。また、東京以外のエリアで出店したいという要望も多く、今後の出店についても検討中だ。

出店ブランドオリジナルのエポスカードを発行

 さらに今回、丸井のグループ企業が発行するクレジットカード「エポスカード」から、出店ブランドのオリジナルデザインのカードを発行する。第1弾は、7月1日〜14日まで出店している「NieR CLOTHING」のオリジナルデザインを施した「NieR CLOTHINGエポスカード」で、7月1日より入会を受け付ける。

 BASEとマルイの共創について、「一人ひとりの幸せを共に作るという視点で、BASEとは共通点を感じており、今後も連携を続けていく」と丸井グループの新津氏は語った。