[ベルリン 11日 ロイター] – 米IBMは11日、人工知能(AI)、ハイブリッドクラウド、量子コンピューター分野に注力する方針を改めて示した。
同社の年次会議「Think Conference」に先立ち、明らかにした。
同社は2年前にオープンソース・ソフトウェア会社のレッドハットを340億ドルで買収。昨年10月にはITインフラサービス部門を別会社に分離する方針を表明した。1年前のアービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)の就任以降、事業の再構築を進めている。
IBMは11日、企業がクラウドでデータを管理できるAIシステム「ワトソン・オーケストレイト」や、顧客が量子コンピューターを利用できるサービスなどを発表する。
ワトソン・オーケストレイトでは、専門家が会議のスケジューリングなどのタスクを自動化することが可能。通常のサーバーでは複雑すぎるプロジェクトを担当する顧客には、量子コンピューターを利用できるサービスを提供する。
クリシュナCEOは、新たなサービスでどの程度の収入を見込めるかにはコメントを控えたが、2021年は小幅な増収、「中期的」には1桁半ば程度の増収を引き続き見込んでいると述べた。
同社は、大規模なオープンソース・データセット「プロジェクト・コードネット」も発表する。このデータセットは1400万のコードサンプル、5億行のコード、55のプログラミング言語で構成されており、AIにコードを理解・翻訳させることができるという。
IBMは先に、2ナノメートルの半導体技術を開発したと発表。現在、大半のスマートフォンで利用されている7ナノメートルの半導体に比べて、性能を最大45%、電力効率を75%改善できるとしている。
ジム・ホワイトハースト社長は、製造パートナーと協力して「2-3年以内に」2ナノメートル半導体の生産を開始するとの見通しを示した。