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イオン北海道20年度決算、過去最高売上高で増収増益 2021年度は「ストレッチする年」

イオン北海道(北海道/青栁英樹社長)は4月9日、2021年2月期決算説明会を行った。通期業績は上期に引き続き好調を維持、売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新する結果となった。

昨対売上高172.1%で過去最高を更新

 イオン北海道の21年2月期決算は、売上高3199億円(対前年同期比172.1%)、営業利益93億6500万円(同115.5%)、経常利益92億9700万円(同115.7%)と増収増益、いずれも過去最高値を更新した。また、純利益は58億5200万円(同151.1%)だった。増収増益の要因として、コロナ禍における内食・巣ごもり需要の取り込みや、20年3月の旧マックスバリュ北海道との経営統合による合理化・経費削減などが挙げられる。

 通期の業態別売上高では、上期、緊急事態宣言による専門店の休業などで打撃を受けたGMS(総合スーパー)事業が下期では徐々に回復、売上高1750億1800万円、売上構成比54.7%で最多となった。ただし、前期比ではコロナ禍で需要を伸ばしたSM(スーパーマーケット)・DS(ディスカウントストア)事業が伸長。全店売上高前期比でSM事業が105.6%、DS事業が107.0%となった。

 部門別の売上高では、食品部門が全店売上高前期比217.2%で10期連続の増収となり、コロナ禍で需要が抑制された衣料などの売上減を下支えた。また、住居余暇部門では、巣ごもり需要を満たすゲーム関連商品や手芸用品の充実が功を奏し、同114.0%と好調な着地となった。

21年2月期の注力施策

 21年2月期、イオン北海道はコロナ対策をはじめ、以下の施策に注力した。

 まず、食のSPA化促進のため、新設した食品商品開発部による商品・産地開発を推し進めた。北海道の食材を活かした商品など、年間で約760品目を開発し、約40億円の売上を確保した。

 また、販売に関する取り組みでは、GMSとSMそれぞれの良い部分をお互いに導入しあう取り組みを行った。GMSからSMへは、生花やヘルス&ビューティーケア関連など、GMSが得意とする商品群をSM30店舗へ導入。導入店舗では前期比売上高が122.8%と伸長した。SMからGMSへは、SMで実施していたテレビ販促を活用したメニュー提案「楽はやっ!クッキング」をGMS40店舗で導入するなどした。 

 新規出店・活性化にも意欲的に取り組んだ。新規出店では、苫小牧市にマックスバリュ日新店、旭川市にザ・ビッグアモール店を出店。ほか、札幌市内にまいばすけっと3店舗を出店した。大型活性化はGMS1店舗、SM・DSそれぞれ2店舗で実施し、軒並み前年超の業績となっている。

 EC事業も前期比145.8%と伸長した。ネットスーパーでは、玄関先受け渡しサービスの導入や、システム機能の改善などで前期比132.3%を達成。ギフトや家具・家電などを取り扱う「eショップ」では、福袋企画などがヒットし前期比265.6%の売上高となった。

2025年へ向けた新中期5ヵ年計画の内容は?

決算説明を行うイオン北海道 青栁英樹代表取締役社長(左)と、同 出戸信成取締役 副社長執行役員(右)

 イオン北海道は、来期以降の方向性を示す新中期経営計画について、コロナ禍の影響などを鑑み若干の修正を行った。当初、2020年度よりスタートする3ヵ年計画だったものを、スタートを1年後ろ倒し、さらに5ヵ年計画とした。来期はこの「新中期5ヵ年計画」の開始年度にあたる。25年へ向けて「ストレッチ(高い目標を課してその実現に挑むこと)する年」と同社青栁英樹社長は21年度を表現。実現のために、営業利益は今期から約21億円減となるものの、店舗投資に57億円、インフラ投資に109億円を投じる見込みを示した。

 積極的な投資を通じ、25年にめざす姿としてイオン北海道は、「安全・安心、便利で楽しい店」「イオン北海道独自の魅力的な商品」の両立を掲げた。その取り組みの一環として、21年8月には畜産・デリカ部門の商品製造・供給を担うイオン石狩プロセスセンターの稼働を開始する。店舗の人員不足をカバーするため、商品のアウトパック化を通じてオペレーションの改革にもつなげたい考えだ。

 また、新規出店では食品業態を中心に69店舗を計画しており、その中には開発中の、札幌市など店舗面積が確保しにくい場所でも出店可能な新しい中小型フォーマットも含まれる。

 ECもさらなる強化を図る。拡大する需要に対応するための事業基盤の強化はもちろん、強いブランド力を持つ北海道の商品を全国に向けて販売、売上拡大をめざす。