成城石井が強烈な存在感を発揮している要因の1つが、創業時より磨き上げてきた商品力だ。その独自性と品質の高さはいかに実現されているのか。直接の取材をもとに成城石井の商品開発について解き明かした書籍『世界の果てまで、買い付けに。』の著者である上阪徹氏が解説する。
国内外でのバイイング
30人のバイヤー
20人の総菜スイーツ開発者
モノが買ってもらえない時代に、なぜ成城石井はこれほどまでに好調なのか。その答えの1つに、間違いなくその品揃えがある。輸入商材や隠れた名品、地方の名産品をはじめ、独自商品がきわめて多いのだ。ナショナルブランド(NB)のものもあるが、成城石井でしかお目にかかれない商品も少なくない。カテゴリーによっては、輸入品も含めて驚くほどの種類が並べられている。また、成城石井が「オリジナル商品」と呼んでいるプライベートブランド(PB)商品も3000点近くに及ぶ。さらに和食、洋食、中華だけでなく、エスニックまで並ぶオリジナル総菜も人気だ。
そんな成城石井の品揃えは、大きく3つで実現されている。まず、約30人のバイヤーによる国内外のメーカーからのバイイングだ。次に彼らによるオリジナル商品の開発。そして約20人の開発担当者による総菜・スイーツの開発である。それぞれ語っていこう。
1つ目のバイイングについては、バイヤーの所属する商品本部には、精肉、鮮魚、青果、総菜、グロサリー、菓子、乳日配、酒の計8つの課がある。成城石井の特色は、基本的に商社や卸任せにはしないことだ。書籍『世界の果てまで、買い付けに。』の取材で原昭彦社長に話を聞いたとき、真っ先に出てきたのが、この言葉だった。
「隠れた優良商品を、世界中で探し続けているのが、成城石井のバイヤーたちなんです」
もちろんNBの商談もあるが、成城石井がどんなに努力しても、その味を変えることはできない。それ以上の“プラスα”を追求することも難しい。成城石井だけの限定にもできない。また、大量に買う小売業者にはスケールメリットがある。
「そこで勝負するのではなく、品揃えで差をつけたいんです。ほかにないものを扱う。あるいは、自分たちで変えられる商品を買い付けして、すべて売り切る。そうすることによって、他社との差別化が生み出せると考えています」
貿易政策もヒントに買い付け先を選定
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