人口減少が進む東北地方を主商圏としながら、躍進を続けるヨークベニマル。なぜ、同社は厳しいマーケットで競合に打ち勝ち、成長し続けることができるのか。ヨークベニマルの加工食品・デイリー部門で、チーフ、バイヤー、スーパーバイザーを歴任した、Asano Grocery Academyの浅野義昭氏が解説する。
福島という風土がベニマルを強くした!?
ヨークベニマルの強さはどこにあるのか。私は、地盤とする福島県の「風土」が、ヨークベニマルを強くした要因の1つだと考えている。
福島県は、「浜通り」「中通り」「会津」と大きく3つのエリアにわけられる。海側の浜通りは、比較的温暖で、東北地方にしては米や野菜がよく育つという特徴がある。奥羽山脈と阿武隈高地に挟まれた中通りは、須賀川や白河といった小さな町がいくつもあり、夏は蒸し暑く、冬は冷たい風が吹く。会津は寒暖差が最も激しく、冬にはたくさんの雪が降る。
このように、福島県の地勢はエリアによって大きく違う。そのため、豆腐にしても、油揚げにしても、地域によって売れる種類、あるいはサイズが異なる。コールドチェーンが発達していなかった頃の名残で、とくにチルド系の日配などは売れるものが違うのだ。
こうした、県や地域単位よりも狭い範囲で、消費者のニーズにきめ細かく対応していく“癖”が文化として定着していることが、ヨークベニマルの強さではないだろうか。
一方で、そうした地域に根ざした商品のつくり手は、時代とともに徐々に減っていくものだ。しかし、そのような商品は食生活に欠かせないものでもある。
ほかのチェーンでは、ある商品がダウントレンドに入るとすぐに販売を弱めてしまう。たとえば、
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