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薬王堂ホールディングス、21年度上期決算で営業利益が1.5倍となった5つの要因

薬王堂ホールディングス(岩手県/西郷辰弘社長:以下、薬王堂HD※)の2021年2月期第2四半期(20年3月~9月)業績は、新型コロナウイルス感染症関連商品の需要が拡大した影響などもあり、売上高は2ケタ成長した。粗利益率は上昇し、販売費及び一般管理費(販管費)率が大幅に低下したこともあり、営業利益、経常利益、四半期純利益はいずれも過去最高を更新した。第2四半期決算説明会における西郷社長の発言を抄録する。

※同社は19年9月2日に単独株式移転により株式会社薬王堂の完全親会社として設立されたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同四半期と比較を行っている項目については薬王堂の2020年2月期第2四半期連結累計期間(2019年3月1日から2019年8月31日まで)と比較している。

営業利益が1.5倍になった薬王堂HD

販管費率が大幅低下

  薬王堂HD20212月第2四半期業績は、売上高は対前期比11.7%増の567億円、売上総利益は同12.5%増の130億円、売上総利益率は堂0.2ポイント(pt)改善の23.0%、販管費は同4.5%増の99億円、販管費率は同1.2pt減の17.6%となった。

 結果、営業利益は同50.2%増の30億円、売上高対営業利益率は同1.4pt増の5.4%となった。経常利益は同43.2%増の32億円、四半期純利益は同24.0%増の19億円だった。

  期中の新規出店は、青森県1店舗、秋田県2店舗、岩手県1店舗、山形県1店舗、福島県2店舗の計7店舗。一方で岩手県の1店舗を閉店し、期末時点の店舗数は合計303店舗となった。内訳は青森県43店舗、秋田県45店舗、岩手県101店舗、山形県33店舗、福島県7店舗だ。 

薬王堂HD好業績5つの要因

「第2四半期の業績要因は5つある。1つめは既存店売上高だ。新型コロナウイルス感染症関連商品の需要が拡大した影響などもあり、既存店売上高が同5.4%増となった。2つめはヘルスケアカテゴリーの売上増加により、同カテゴリー構成比が0.3pt拡大したことで粗利益率が前期の22.8%から23.0%へと上昇した。3つめは、継続的な最低賃金上昇により、人件費が上昇したこと。4つめは4月下旬から5月中旬までチラシ配布を見送ったことで販促費と人件費が減少したこと。5つめは前期との新規出店数の差異により、新店のコストと人件費が減少したことだ。前期の第2四半期までは18店舗を新規出店したが、当期第2四半期は7店舗の新規出店にとどまった」 

「昨年来、既存店売上高は概ね対前年同月比100%以上を維持している。2月以降に新型コロナウイルス感染症関連商品の需要が高まったが、直近では徐々に通常の状況に戻りつつある。当期の第2四半期までの既存店売上高は同5.4%増と堅調に推移した。既存店の客数、一人当たり買上点数についても、新型コロナウイルス感染症の影響により、2月以降に客数が増加し、一人当たり買上点数は減少する状況が続いていたが、こちらも徐々に通常の状況に戻りつつある。78月の一人当たり買上点数の実績には有料化したレジ袋が含まれており、各月プラス3%程度の影響があった」

 

通期業績予想は据え置く

 「セグメント別売上高については、前期同様、ホーム部門、フード部門の売上が高い伸び率を示しており、全体の2ケタ増収をけん引した。さらにヘルス部門についても消毒薬やマスク等の新型コロナウイルス感染症関連商品の需要拡大の影響により、対前期比13.5%増と例年に比べ高い伸び率となった。半面、ビューティ部門は外出自粛や在宅勤務など生活スタイルの変化の影響により化粧品などが振るわず、売上高は同2.9%増にとどまった」

  212月期の通期業績予想に変更はない。

「第2四半期までの業績から考えると、通期業績予想はあまりにも保守的に思われるかもしれない。前期の1月~2月には新型コロナウイルス感染症関連商品の需要増が含まれていることや、さらなる第2波の可能性も否定できなく、先行きが不透明となっていることを踏まえ、通期の業績予想は2046日に公表した業績予想数値を据え置いている」

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