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21年2月期上期、純利益倍増!大躍進のライフコーポレーションが推し進める施策は「守り」「攻め」「変化」

ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)は10月9日、2021年2月期第2四半期決算説明会を行った。新型コロナウイルス(コロナ)による内食・巣ごもり需要で好調のスーパーマーケット。業界最大手の同社の収益はどこまで伸びたのか。また、コロナによって変わる消費者意識に適応するため、同社が打ち出した施策はどのようなものか。

純利益205.3%、コロナ需要を取り込んで大躍進

 ライフの2021年2月期第2四半期決算(連結)は、営業収益3867億3800万円(対前年同期比109.4%)、営業利益169億1400万円(同204.0%)、四半期純利益117億500万円(同205.3%)で、増収増益となった。コロナの流行によって感染対策費用や人件費などがかさんだものの、コスト増をはるかに上回る増収だった。また、既存店客数は同94.0%と割り込んだ一方で、既存店客単価は同115.4%と伸び、来店控え・まとめ買いなどコロナによる購買行動の変化が浮き彫りになった。
 部門別売上高では、外出自粛などから衣料品が同86.8%と不調だったが、食品・生活用品の増収(いずれも同110%前後)で十二分に埋め合わせる恰好となった。
 また、上期は兵庫県西宮市に2店舗(西宮北口店・夙川店)を出店した。下期は新業態の「BIO-RAL(ビオラル)」を含め東西で5店舗を新規出店、計7店舗とする予定だ。また、上期で得た利益をもとに、設備投資や既存店の改装に注力する。

「守ること」「攻めること」を意識した施策

 コロナによって消費者意識が変化する中、ライフコーポレーションは「守ること」「攻めること」「変えること」の大きく3つにわけた施策を打ち出している。
 「守ること」の軸は感染対策だ。社会が混乱する中、地域のライフラインであり続けることに重きを置き、顧客と従業員の双方が安心して来店できる・働けることをめざした。その結果、毎年7万人を対象に行っている顧客アンケートの速報では、入場制限、消毒などコロナ対策の10項目について、「ライフの取り組みはどうだったか?」との質問に、「安心できる」とした人の割合が他社との比較で10~15%上回った。
 「攻めること」については、ECの強化、キャッシュレス決済の推進、「オーガニック」「ローカル」をキーワードとしたフォーマット「BIO-RAL(ビオラル)」の拡大、改装の積極化、採用の強化の5施策を挙げた。とりわけ注力するのがECの強化で、既存店舗のオペレーション改善、配送体制の強化はもちろん、配送エリアの拡大も推進する。自社ネットスーパーの対応店舗を下期には10店舗増やすほか、昨年9月から提携しているAmazonのサービス「Prime Now(プライムナウ)」の配送エリアも拡大する。これらの施策によって、当期はECでの売上高50億円、来期には100億円をめざす。
 また、キャッシュレス決済の推進も急務だ。コロナによって現金の受け渡しが敬遠される傾向にあるが、同社のキャッシュレス決済比率は51.7%。業界平均の36.7%に比べれば高い数字だが、顧客と従業員の安全を守るためにこの比率をさらに押し上げたい方針だ。ポイント還元などで自社電子マネー「LaCuCa(ラクカ)」、自社クレジットカード「LCカード」の利用を後押しすると同時に、15億円を追加投資し約90店舗にセミセルフレジを導入、今期中にライフ全店への導入を完了する。
 またビオラルは、16年にオープンした1号店「靭(うつぼ)店」(大阪府大阪市)が上期ついに前年同期比137%となり、黒字化を達成。下期には首都圏1号店を「吉祥寺マルイ」(東京都武蔵野市)内にオープンさせる。
既存店改装については、首都圏・近畿合わせて約20店舗を対象に1店舗あたり1億円以上を投資し、下期合計では40億円を投じる予定。老朽化への対応や店舗レイアウトの変更、冷蔵ケースのリニューアルなどを主に行う。採用に関しては、3~9月の累計で8500人のパート・アルバイトを採用。これは対前年同期比20%増で、苦しんできた人手不足からの脱却が見えてきた。下期にも積極的な採用を進め、EC強化のための人員も含めて確保する。

コロナによって変化する働き方と販促

 ライフコーポレーションが「変えること」に挙げているのは、従業員の教育・働き方と販促の方法だ。教育・働き方については、コロナによって改革が急務となっているものの環境が追いついていない面がある。下期は10億円をかけて店舗の通信インフラやセキュリティの強化と、全店へのタブレットやモバイル端末の配布を行い、E-ラーニングによる教育や情報伝達を充実させる。
 コロナによって変革を迫られているのは販促も同じだ。感染拡大によって、今までのようなチラシを大量に配布し、特売日や目玉商品を設けて来店を集中させるこれまでの販促が難しくなった。今後は、販促として、EDLP(エブリデー・ロープライス)へのこれまで以上の注力に加え、キャッシュレス還元を充実させるなどで顧客へアピールしていく。