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第13回 収益性確保のための人時生産性向上対策= スーパーマーケット再創造

スーパーマーケット再創造

低収益の直接原因は人時生産性の悪化

 日本リテイリングセンターでは、10年以上前から継続的に、小売業のフォーマット別に人時生産性の実態を調べている。そのうちスーパーマーケット(SM)の人時生産性は、他フォーマットと比べて低いまま、まったく改善されていない。小型店が増加中の今日では、むしろ悪化している事例が増えているくらいだ。

 「人時生産性」とは従業者1人当たり1時間換算の粗利益高のことである。目標値は、本部では5000円、現場では6000円以上である。本部要員のぶんを現場が稼がねばならないから現場の目標数値が2割高になる。1人当たり年間粗利益高なら「労働生産性」となり、会社全体で1000万円、現場なら1200万円をめざす。従業者の年間労働時間を2000時間として労働生産性をその時間数で割れば、先に述べた人時生産性になる。必要とする営業利益高を確保するために逆算した数値目標である。

 そこで個々の業務・作業の人時数改善を図るには、労働生産性ではなく1人1時間換算の人時生産性の数値を用いる。

 大手と中規模のSM18社158店の統計を見ると、2500円以上4000円未満が83%で主流となっている。つまり人時生産性は6000円必要なところ、実態はその半分ほどしかないのだ。

 同じような商品部門構成である生協の店舗事業はもっと悪く、4 生協2 1 店の結果は2500円以上3500円未満が71%になる。その理由は、生協の店舗規模がSMのそれより小さいためだ。しかし、オペレーションの人時数は変わらない場合が多い。

 つまり食品フォーマットの欠点は、店舗段階での人時生産性が低いことである。だから収益性が低い。取り扱う商品の特性上、来店客の購買頻度が高く、そのため商品補充の頻度と量が膨大になる。商品の賞味期限は短いものが多く、それゆえ商品管理業務にも多くの人時数が必要となる。

 問題なのはそれら膨大な人時数を要する業務・作業を、店舗段階の人海戦術で処理していることである。ITの新技術はもとより、センター化や機械使用など、ほかの小売業フォーマットが当たり前のように実践している業務・作業システム構築が遅れているのだ。

 もちろん人時生産性の向上を図るには分母である人時数を減らすだけでなく、分子である粗利益高を高めることも必要だ。しかしSMの仕入れ方法の改善は行われず、売れ筋の自社ブランド化も進まないため、粗利益率は下がる傾向にある。だからますます問題なのだ。

 幸運なことに、コロナ禍においてSMの足元の既存店売上高は対前年同月比で5~10%ほど伸びている。しかし一方でウイルス感染予防対策には膨大な人時数がかかっているのだ。したがって、今こそSMは、抜本的な人時数削減対策を実行すべきである。これまでどおりの人海戦術を続けていれば競争に負けることになる。コロナ以前からSMは本格的な競争に巻き込まれていることを忘れてはいけない。

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