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ウエルシアHDの新中期経営計画 23年2月期、売上1兆800億円をいかにして達成するのか?

ウエルシアホールディングス(東京都)の2020年2月期業績(連結)は、売上高が対前期比11.4%増の8682億円、営業利益が同30.1%増の378億円、経常利益が同28.1%増の403億円、当期純利益が同30.9%増の228億円となり、2ケタ増収増益だった。4月17日開催の2020年2月期決算・中期計画説明会における松本忠久社長の発言を抄録する。

 

過去に類のないほどのさまざまなことが起きた1

「この1年間は長期にわたり成長するため、向こう3カ年の基礎づくりの年度と位置づけて経営に取り組んできた。組織、出店、商品戦略を見直し、改革に向けて準備が整ってきた。202月期は夏の天候不順、秋の台風直撃、消費税増税、調剤報酬改定、暖冬、今も続く新型コロナウイルスの影響など、過去に類のないほどのさまざまなことが起きた1年だった。しかし当社のビジネスモデルの優位性が発揮されたかたちとなり、既存店売上高は対前期比6.7%増と、計画の4.0%増を大きく上回った。結果、売上高は8682億円、経常利益は403億円と計画を大きく上回った。課題としていた経費コントロールについては、期初より取り組んでいる人時コントロールの効果が出始め、新中期計画の基礎づくりが完了できたと認識している」

202月期の対処すべき課題とその振り返りについて、大きく3つある。1つ目は魅力ある売場づくりと利便性の向上だ。202月期末時点の調剤併設店舗数は対前期比153店舗増加した。またQRコード決済やSNS等デジタル販促へのシフトを進めた。2つ目は販売管理費の適正化による収益力の向上だ。継続して取り組んでいる店舗人時コントロール、ワークスケジュールの徹底、本部による採用コントロール、変形労働制の活用等で従業員のコストに対する意識の高まり、採用や残業の削減など、コントロールが可能となってきた。併せて、店舗作業、人時数低減のための施策である、入出金機、自動発注システムについては予定どおり導入を完了した。週2回納品体制も含め、現在、全店舗本格稼働に向けて取り組んでおり、これから効果を追求していく。3つ目はSGDs(持続可能な開発目標)と社会貢献だ。温暖化の1つの原因とされているプラスチックごみを少しでも減らすべく、2041日からレジ袋有料化をスタートした」。

 

毎期120店舗前後を新規出店

ウエルシアホールディングスの松本忠久社長

  20202月期決算・中期計画説明会では、232月期を最終年とする3カ年の新中期計画を発表した。

「最終年である新中期計画3年目の232月期に売上高1800億円、経常利益は540億円(経常利益率5.0%)を目標とした」。 

「新中期計画では、積極的な出店を続け、毎期120店舗前後を出店し、閉店は30店舗前後とする。立地特性に合わせて、郊外店と都市小型店を出店していく。三大都市近郊を中心に出店し、そのほかエリアは地域ごとに市場占拠率を獲得していく。M&A(合併・買収)についても積極的に実施し、成長性と収益性のバランスをとっていく。調剤については、最終年に調剤併設率80%以上を目標とした。調剤については、成長性、大手による寡占化が進んでいないことから、有望な市場だと考えている。グループ会社によるウエルシアモデルを引き続き推進するとともに、202月期から取り組んでいる地域連携と対人業務を強化すべく、経営資源を分配していく。商品やサービスの提案力を高めるために、地域特性や店舗特性に合ったMD(マーチャンダイジング)戦略を強化するとともに、付加価値商品や差別化商品の開発に努める。店舗はワークスケジュール管理や自動発注といった店舗業務効率化の取り組みに加えて、エリア運営を強化していく。すでに203月に機構改革を行って新組織体制でスタートしている。IT・物流については、多様な営業政策のへの対応を可能とするシステム設計、前期より続けている店舗業務効率化の一環として、新型レジ、伝票レス化を進めていく。人事・教育については、時代に合わせて働き方を変えていく必要があると認識しており、総労働時間を適正化し、働きやすい環境を整えていく。また、個々人に合わせた教育機会を提供し、カウンセリング強化に取り組んでいく」