本連載では、主としてショッピングセンター(SC)事業者向けに書くことが多いが、今回は見方を変えて「出店するテナント」に対して、SCに出店する意味と意義について解説する。

テナントの店長たちは意外と知らない
SC内のテナント店長達は、自分の会社とSCがどのような契約がなされているのか、それが路面店とはどう違うのかなど、配属の際に教育を受けていないことが多い。路面店への配属もモール内店舗への配属も実際に赴任してから色々見聞きして学ぶ。
しかし、これはもったいない話である。
SCには、マネジメントオフィスやサポートセンターやオペレーションセンターと呼ばれる事務所があり、そこには営業、販促、経理、設備、総務など、店舗(テナント)をバックアップする機能が揃っている。
また、ホームページやSNSなどの情報ツールも数多くあり、これらを活用しない手はない。
しかし、その活動にはやはり役割と責任が伴う。本稿は、これらを理解することでSCへ出店したテナントの健全な成長を応援したい。
SCとテナントの契約関係
SCとテナントは借地借家法に基づく「建物賃貸借契約」が交わされ、賃貸物の独占的排他的占有権が担保される。要するに、テナントは、借りた区画の中で一定のルールはあるものの、自由な営業が認められる。その反面、当然、責任も伴うことにある。
テナントは、建物賃貸借契約によるリスク負担(図表)と責任を負い、役割を担うことになる。そこでは商品の在庫リスクを持ち、安定した雇用を保つことも求められ、売上高の向上と利益確保をミッションとして日々活動することになる。
図表 SCとテナントのリスク負担 |
||
SC |
項目 |
テナント |
不動産業 |
業種 |
小売業、他 |
– |
商品リスク |
● |
– |
在庫リスク |
● |
– |
雇用リスク |
● |
● |
不動産リスク |
– |
● |
空室リスク |
– |
SCに出店したテナントの最大の責任は
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