3業態(ショッピングセンター、百貨店、チェーンストア)の2023年売上高が出揃った。結果、全ての業態で前年を超えたが、これはコロナ禍の反動であり、素直に喜べるものではない。むしろ危機感さえ覚える。その理由は、あれだけ苦しんだコロナ禍が結果、追い風に転じたことで復調に寄与していると思うからに他ならない。今号ではその仮説について提示したい。
2023年の売上高実績
業界団体の発表数字は下記の通り、全業態で前年を超えている。
表1 2023年売上高(対2022年比) |
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業態 |
2022年 |
2023年 |
前年対比 |
SC |
28兆8970億円 |
30兆8260億円 |
106.68% |
百貨店 |
4兆9812億円 |
5兆4211億円 |
108.83% |
チェーンストア |
13兆2656億円 |
13兆5585億円 |
102.21% |
これをコロナ禍前の2019年比で見るとSCと百貨店はコロナ禍前には戻っておらず、チェーンストアだけはコロナ禍を経て大きく売上げを伸している。
表2 2023年売上高(対2019年比) |
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業態 |
2019年 |
2023年 |
対2019年比 |
SC |
31兆9694億円 |
30兆8260億円 |
96.42% |
百貨店 |
5兆7547億円 |
5兆4211億円 |
94.20% |
チェーンストア |
12兆4324億円 |
13兆5585億円 |
109.06% |
コロナ禍の影響と復調
この現象は、消費行動の変化を表す。「不要不急はお控え下さい」と生活や行動を制限され日用品の購買行動が中心となり、結果、①日常性を重視した生活スタイルになったこと、②「不要不急」と言われる消費行動の制限がそのまま生活態度として浸透したこと、この2つが挙げられる。
また、2023年の好調要因には以下の5点が挙げられる。
- コロナ禍により前年の売上高の低迷
- コロナ禍による閉店や規模縮小からの復調
- リベンジ消費が含まれること
- 物価の高騰と高額品が売れたこと
- 円安によるインバウンド消費の伸長
百貨店の復調が大きいことがその証左である (図1)。
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