[東京 15日 ロイター] – 東芝機械は15日、同社が保有するニューフレアテクノロジー株式の全てを東芝の連結子会社である東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)に売却することを取締役会で決議したと発表した。これにより、東芝D&Sによるニューフレア株式の公開買い付け(TOB)は成立する公算が高まった。東芝D&Sは16日までTOBを実施している。
東芝機械は、保有するニューフレア株全てを売却した場合、20年1─3月期に投資有価証券売却益約100億円を特別利益に計上する見込み。
ニューフレアに対してはHOYAもTOBを実施する意向を示しているが、ニューフレア株52.4%を保有する東芝D&Sがこれに応じない方針を決めている。このため東芝機械は、HOYAによるTOB成立の見込みがなくなったと判断したほか、東芝D&Sとニューフレアの事業上のシナジー効果を検討した結果、東芝D&SのTOBに応募することにしたとしている。HOYAのTOBの下限は66.67%。
東芝D&Sは11月からニューフレアを完全子会社化する方針で1株当たり1万1900円でTOBを実施している。HOYAが12月、東芝D&Sより高い同1万2900円でTOBに名乗りを上げたことで、争奪戦の様相となった。東芝D&SによるTOB成立の下限は14.27%の取得で、ニューフレア株の15.8%を保有する東芝機械の出方が注目されていた。
東芝機械は、投資家の村上世彰氏に近い投資会社が共同保有者分と合わせて9.2%を保有する筆頭株主で、TOB価格がHOYAより低い東芝D&SによるTOBには応じにくいとみられていた。
一方、村上氏に近い別の投資会社が、東芝D&SのTOB開始後からニューフレア株を買い付け、共同保有者と合わせて一時6.2%に保有割合を高めていたが、12月半ばから徐々に売却し、12月27日の開示では保有比率は3.2%に低下した。