ワークマン(東京都/小濱英之社長)の2020年3月期第2四半期業績は、チェーン全店売上高553億円(対前年同期比32.2%増)、営業利益86億円(同55.1%増)と業績好調が続く。そんな“売れすぎ”のワークマンだが、うれしい悲鳴だけではなく、早急に対処すべき課題ともなっている。好調なワークマンが取り組む次の施策について、決算説明会で登壇した小濱英之社長のコメントをもとにまとめた。
「WORKMAN Plus+」の出店で好調
ワークマンは、作業服専門店「WORKMAN(ワークマン)」と既存店の商品を一般向けに提供する業態「WORKMAN Plus+(ワークマンプラス)」を展開している。
同社の出店状況を見てみると、第2四半期累計でロードサイドに9店舗、ショッピングセンター(SC)内に2店舗、出店した11店舗すべてが「ワークマンプラス」となっている。
改装では、既存店12店舗を「ワークマンプラス」へ転換した。これにより、フランチャイズを含むチェーン全体でワークマン779店舗、ワークマンプラス69店舗、総店舗数は848店舗になった。
ワークマンプラスでは、機能性ウエアを普段着とする「アスレジャー」の人気の高まりを背景に、アウトドア・スポーツ向けのウエアや、防水機能を持ったプライベートブランド(PB)商品を大きく展開している(編集部注:ワークマンとワークマンプラスの品ぞろえは同じ、見せ方が異なる)。「ブランドの強化とヒットにつながる効果的なプロモーションにより、一般のお客さまを取り込んだことが伸びの要因だと考えている」(小濱社長)
PB商品に注力
プライベートブランド(PB)商品の売上高は、242億円(前年同期比68.0%増)と好調だ。PB比率は44.0%(前年同期比9.5ポイント増)、9月末でのアイテム数は947(前年同期比で206アイテム増)と年々増加している。主力ブランドは、アウトドア向けの「FieldCore」、スポーツ向けの「Find-Out」、ウィンターレジャー向けの「AEGIS」。競合他社との差別化を図るために、まずはPB比率を50%にまで高め、達成でき次第、商品の品質などにこだわっていく方針だ。
「一時的な流行で終わらせるのではなく、『作業服』という初心に立ち返るのが大切。プロの品質と低価格を忘れずに魅力ある商品をつくりつづけることで、お客さまにリピートしていただきたい」(小濱社長)
「アンバサダーマーケティング」で積極的な情報発信
新たな試みとして、同社の商品のファンが口コミなどの情報発信をする「アンバサダーマーケティング」を取り入れている。社外で影響力のある著名なインフルエンサーを「製品開発アンバサダー」に任命し、アンバサダー50人とのコラボ企画を実施する。アンバサダーがSNSで発信して購買を促すだけにとどまらず、使用者目線を盛り込みながら共同で商品開発を行っていくという。
加えて、SNSのワークマン公式アカウントを運用し、積極的に若年層とのコミュニケーションの機会を増やしていく。
販売機会ロスを下げてさらなる売上拡大をめざす
ワークマンは、さらなる売上拡大を図るため、すでに369店舗で稼働している需要予測発注システムの導入店舗を増やしている。導入店舗の販売機会ロス率は、未導入店舗より3.2ポイント低い6.5%と一定の効果を確認している。
これまで、シーズンの終わりごろになると、商品が完売してしまうケースが少なく、チャンスロスを抱えていた。そこで、需要予測発注システムを導入することにより、適時適量を店頭に揃える仕組みを整備して、売上の最大化を図る。また、商品の生産に関しても、同システムの導入により適切な生産量の計画を立てたり、追加供給になった際に対応できるようにリードタイムを短くしたり、生産体制を整えていくという。
2020年3月期通期では、チェーン全店売上高1035億円(対前期比11.2%増)、営業利益150億円を計画しており、新規出店の加速やマーケティングの強化により、増収増益をめざす。