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第62回 SCはECに取り組むべきか(前編)データで見るSCとECの比較

ECに取り組んでいるショッピングセンター(SC)企業の事例は多い。各社、個性を出しながら取り組んではいるものの必ずしも順調ではない。むしろ当初の目論見通りではない企業も多く、中には頓挫(撤退)する企業も少なからずいる。なぜこのような結果となるのかについて、今回考えていく。

William_Potter/istock

ECのはるか以前から盛んだった無店舗販売

 現在はインターネットが普及し、購買から決済、配達までをネット技術を活用した運営が中心となっている。

 だが、昔からカタログによる通信販売やテレビショッピングなどの無店舗販売は存在していた。あのジャパネットたかたが最初に行った無店舗販売はラジオショッピングだった。

 その時代の無店舗販売や通信販売は、紙媒体や電波媒体などマス媒体を使って商品情報を消費者に届け、ハガキや電話やFAXでお客からの注文を受け付けていた。

 今でもテレビショッピングでは電話申し込みを受け付け、カタログ通販でも添付のハガキで申し込むことができる。さらに古くは訪問販売という人的資源に頼る販売方法もあり、その昔は富山の薬売りという、「使った分だけ薬代を請求する」商売も存在した。

 これらに共通することは実店舗を持たず、メディアや人を媒介として販売者(供給側)が購入者(需要側)の自宅に乗り込んでいく訪問販売であり無店舗販売だったのである。言い方を変えると自宅を店舗に代替したのである。

無店舗販売が急拡大した理由

 生産者が流通業者を通じ消費者に商品を届ける仕組みを大きく変えたのは他でもない情報通信技術の進化である。

 それまでテキストしか送れなかった通信容量が3Gによって画像が送れるようになり、端末もガラケーからスマートフォンになることで無店舗販売の矛先が自宅から個人の手の中に移ったのである。

 その後、通信技術は4Gに進化し、ストリーミング技術による動画配信やSNSの普及により、それまでの紙媒体や電波媒体を主戦場としていた通信販売はインターネットを介したECとして、B to CだけでなくC to C(個人間取引)も可能としたのである。

 現在、物販系では書籍や家電のEC化率のシェアが高い(図表1、経産省)。

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