セブン‐イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)は11月17日、2022年秋冬商品説明会を開催した。物価上昇が続き市井の生活防衛意識が高まるなか、セブン‐イレブンでは価格訴求を継続するとともに、来店を促進するための「フェア」の開催、ワンストップショッピングに寄与するダイソー商品の導入などを進めていくとしている。
好調の「フェア」
セブン–イレブンの2023年2月期上期の既存店客単価は、対前年同期比3.0%増で、既存店売上高は同2.7%増だった。好調の要因は、来店を促進する「フェア」だという。たとえば4月には、「黒糖メロンパンきなこクリーム」「黒糖練乳ミルクフランス」などを販売する「沖縄フェア」、8月には、「カシミールカレー」「チキンビリヤニ」などを販売する「カレーフェス」といった具合に、月ごとにテーマを設定してそれに合わせた商品を投入する「フェア」を毎月開催、来店客の増加につなげている。
フェアを積極的に実施する目的について、セブン–イレブン取締役執行役員商品本部長の青山誠一氏は「旅行や外出がしにくい時世でも、お客さまにワクワク感を与えたい」と話す。
足元では物価が上がり続けており、多くのナショナルブランド(NB)商品が値上げを余儀なくされている。そうした状況下での価格政策について、青山氏は「価格訴求を継続しながら、価格帯を三階級にわけた『松竹梅』のバランスを意識したい」と述べる。
青山氏の言う「松竹梅」の「松」にあたる商品の一例が、先述のフェアで販売する人気ラーメン店「飯田商店」(神奈川県)が監修する「醤油らぁ麺」(税込648円)や「日向屋」(栃木県)が監修する「佐野ラーメン」(税込583円)など素材や製法にこだわった地域の銘店の商品だ。
「竹」は、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)が展開するプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」が該当する。そして「梅」の位置づけにはセブン&アイが今年10月にスタートした価格訴求型の新ブランド「セブン・ザ・プライス」がある。
値上げが相次ぐ中でとくに重要な役割を担うのが、「竹」と「梅」の商品だ。「竹」のセブンプレミアムについては、2007年の誕生以来右肩上がりに売上を伸ばしてきたものの、21年度は同PB誕生以降初めて前年度実績を下回った。その要因について、青山氏は、「コロナ禍でメーカーさまとの打ち合わせが十分にできていなかった」と話す。これを改善すべく、セブン–イレブンでは今年10月に合計88社の取引先を招いて説明会を実施したという。
「現状の厳しい実態を取引メーカーさまとしっかり共有しながら、引き続き、基本商品であるセブンプレミアムの品質を追求したい」(青山氏)
「セブン・ザ・プライス」とダイソー商品
「梅」の商品政策にも注目したい。人々の生活防衛意識が高まる中、セブン–イレブンでは今年10月から関東地方の約60店舗で、グループの新ブランド「セブン・ザ・プライス」12アイテムのテスト販売を開始した。
セブン-イレブンでは、セブン・ザ・プライスの中でも、パンや菓子といった購入頻度の高い商品をラインアップしており、その中でも「食パン 6枚入」(税込105円)、「ひとくちチョコレート 生クリーム」(税込213円)、「ひとくちチョコレート カカオ70%」(税込213円)などはとくに売上が好調に推移しているという。
そのほか、セブン–イレブンが2020年に導入した、大創産業(広島県/矢野靖二社長)が展開する100円ショップ「ダイソー」商品も好調だ。除菌シートやゴミ袋など、消耗頻度の高い商品がよく売れているという。
2022年11月現在、ダイソー商品はセブン–イレブン全店舗の約半数となる約1万店に導入されている。青山氏は「導入した店舗ではすでにゴンドラ5段ぶんのダイソー商品を陳列しているが、下期はゴンドラ1台ぶんの陳列をめざしたい」と述べる。
セブン–イレブンが重点課題の1つに据える地域社会との取り組みも引き続き継続していく予定だ。2019年に全都道府県への出店を果たしたセブン–イレブンは、それぞれの立地に合わせて商品をラインアップしている。来年度は、現在実施している全国展開のフェアに加えて、「宮城フェア」など地域限定のフェアを実施する予定だという。
青山氏は「創業から画一的な店づくりをしてきた当社だが、今はそうではない。地域ごとの取り組みを大事にし、各所に合わせた店づくりをしたい」と意気込みを話す。