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オススメの一冊『日本の消費者はどう変わったか生活者1万人アンケートでわかる最新の消費動向』

『日本の消費者はどう変わったか 生活者1万人アンケートでわかる最新の消費動向』
『日本の消費者はどう変わったか 生活者1万人アンケートでわかる最新の消費動向』
野村総合研究所 松下東子 林裕之=著/東洋経済新報社刊/2000円(本体価格)

 コロナ禍で消費者の生活様式は変化した──。ここ2年以上、多くのTV番組や雑誌、ウェブ記事がこのテーマを取り上げており、もはやこの事実を知らない人はいないだろう。本誌の読者である小売従事者に関連の高い現象では、買物頻度の減少や内食需要の高まりなど、多くの変化があった。しかし、体感としてこうした事象を知ってはいても、数値で変化を把握する機会はあまりなかったのではないだろうか。本書は、野村総合研究所(NRI)に所属する2人の著者が、同社に長年蓄積されたデータをもとにコロナ禍で日本人の消費がどのように変わったかを分析した1冊だ。

 本書は3章構成で、コロナ禍での働き方や生活の仕方の変化、夫婦や子供など家族との関係性における価値観の変化、アフターコロナの消費動向について解説。各テーマでは、コロナ以前と比較してどの程度の変化があったか、数値や図表でわかりやすく示されている。

 第3章「アフターコロナの新マーケティング」の中に、コロナ禍収束後の生活様式について述べた部分がある。NRIの調査によると、回答者の約9割がコロナ禍以前の生活には完全に戻らないと考えていることがわかった。また、今後の消費の重点分野を過去十数年の結果と比較すると、食料品や家電製品、家具、インテリア、寝具などがとくに伸びていると判明した。今後も家庭で過ごす時間が減らず、より充実した「おうち時間」を楽しみたいと考えている消費者が増えたことが推察される。一方、人付き合いや交際費にお金を使いたい人はここ十数年の中で大きく減少した。外食や旅行と異なり、コロナ禍が収束しても余計な人付き合いはしないと考える人が増えたとみられる。

 このように、本書ではコロナ禍の消費者の変化が具体的な数値の比較とともに分析されている。小売関係者も、本書で消費者の実態を把握し、アフターコロナの商品政策の参考にしてはどうだろうか。

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