本特集にあたり本誌では毎年恒例の生協アンケート調査を実施し、30生協から回答を得た。コロナ特需が終焉した今、宅配事業の利用動向はどのように変化しているのか、また、原材料価格やエネルギー価格の高騰など各種コスト増にいかに対策を打っているのか。さらには、「物流の2024年問題」など人手不足が懸念される配送現場の現状も含めて、リアルな現状を聞いた。
●アンケート回答生協(50音順):いわて生協、エフコープ、こうち生協、コープあおもり、コープあきた、コープおおいた、コープおきなわ、コープかがわ、コープぐんま、コープこうべ、コープさが、コープさっぽろ、コープしが、コープながの、コープみやざき、コープみらい、自然派くらぶ生協、生協しまね、生協ひろしま、東都生協、とくしま生協、鳥取県生協、ならコープ、福井県民生協、パルシステム埼玉、パルシステム東京、パルシステム千葉、みやぎ生協、よつ葉生協、ララコープ
若年層の利用増も組合員の高齢化はとまらず
まず、現在の登録組合員数は、回答のあった29生協計で1376万9649人、平均で47万4815人となった。全体の6割超の生協が、コロナ前と比較して加入者が「増加傾向」と回答。コロナ禍以降に獲得した新規組合員についても約75%の生協が「定着している」と回答している。しかし、前年のアンケート調査では「定着している」という回答が100%だったため、行動制限がなくなりつつあるなか、離反も生じているようだ(Q1)。
次に事業の要である宅配事業について聞いた。宅配サービスの平均実質利用率は平均85.5%で、「増加傾向」と回答したのは13生協だった(Q2)。利用の内訳をみると1人当たりの宅配の利用高は「減少傾向」という回答が15生協と最も高く、利用頻度についても「減少傾向」が「増加傾向」とほぼ同じで、利用高、利用度ともにコロナ禍直後と比べて落ち着いてきていることがうかがえる。
購入カテゴリーの変化を見てみると、加工食品や簡便商材、冷凍食品など買い置き可能な商品が増加し、一方で生鮮品や米類は減少傾向にあるようだ。
宅配利用者の世代別割合を見ると、最も割合が高いのは「71歳以上」で26.4%、次に「41~50歳」「61~70歳」が続く結果となった。目にとまるのは20~40歳の割合の低さだ。直近ではネット対応の強化などにより若年層が増えている傾向が見られるが、利用者全体の平均年齢は上昇傾向で、組合員の高齢化に歯止めがかからない(Q3)。
競合サービスについて「影響力が高まっているか」尋ねると(Q4)、「いいえ」が全体の約75%を占めた。コロナ禍で食品宅配事業各社が積極攻勢に出ているが、現時点では生協の現場では大きな影響を感じていないようだ。
今後宅配事業で強化していく取り組みについては、「組合員とのコミュニケーション強化」「加入促進、商品提案」「注文における利便性向上」が上位に挙がった。多くの生協がアプリ開発等のデジタル活用を進めつつ、組合員とのつながりを大切にすることで競合との差別化につなげようとしている(Q5)。
「2024年問題」の影響は「少ない」が最多回答
次に宅配の物流についても回答してもらった(Q6)。
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