大久保恒夫社長のもと、「商品力」「販売力」の強化を推進しつつ、商販一体での売場づくりや個店経営を進めている西友(東京都)。このような改革の成果が表れている店舗の1つが、2020年11月に改装した「西友三軒茶屋店」(東京都世田谷区:以下、三軒茶屋店)だ。本稿では、同店の最新の取り組みについて解説する。
地上1階ではCVSの利便性を意識
三軒茶屋店は、東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」駅のすぐそばにある。単身者や共働き世帯の多い駅チカの都市型立地で、住民の所得は比較的高いといわれているエリアだ。他方、徒歩数分の場所に「三軒茶屋とうきゅう」「肉のハナマサ三軒茶屋店」があり、競争は激しい。
こうした商圏特性を踏まえ、販売本部第2販売部部長の中條俊之氏は「食に関しては、“Quick & Easy”な店、効率よく買い回りのできる店づくりをめざす一方で、OMOに対応した店舗としての運営も心掛けている」と語る。実際、同店のネットスーパー需要は大きく、西友で最大級の受注量となっている。
三軒茶屋店の営業フロアは地下1階から地上5階。衣料品や雑貨も取り扱う総合スーパー型の店舗だが、本稿では地下1階・地上1階の食品売場にフォーカスして解説する。20年11月の改装では都心部立地の利便性を追求し、地上1階ではコンビニエンスストア(CVS)のような売場を意識。酒類・飲料・菓子・総菜・ベーカリーなどを配置した。また、セルフレジ8台を新規導入するなどショートタイムショッピングニーズに対応した。なかでも総菜売場は改装前の1.5倍に拡大し、壁面の冷蔵多段棚では即食商品として、サラダや佃煮、漬物などを集めたコーナーも新設した。
店舗正面入口そばには、輸入ワインとチーズやハムなどの輸入食材を配置し、感度の高い周辺住民向けに「ちょっとおしゃれな家飲み」を想起させるコーナーを設けている。「もともと当店はワインの売上が全店の中でもかなりよかった。輸入食材含め値入れ率の高い商品との掛け合わせで、粗利も確保できる売場となっている」(浅野邦彦店長)。
さらに、ひと際目を引くのが、
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