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レシートは語る第7回 ツルヤの利用実態調査 PBだけじゃない!支持される理由

 mitoriz(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約100万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1500万枚のレシートを収集し、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる。(提携サイト含める)
 このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売りチェーンの実態を明らかにすることができる。本連載では毎回、業界で関心の高いテーマを設定して独自調査を実施し、その結果をレポートする。

 連載第7回目は、長野県で圧倒的な支持を集め、現在は群馬県にも2店舗オープンさせ、ファンを増やしている食品スーパー(SM)ツルヤ(長野県/掛川健三社長)にクローズアップ。商圏が類似する「フレッセイ」「ベイシア」との比較対により、その購買動向を分析した。

支持される理由上位は
「生鮮の品質」「手ごろな価格」

 図表1は、消費者アンケートで、各チェーンのメーン利用者に「(そのチェーンを)支持する理由」を尋ねた結果をまとめたものだ(調査期間:2022年3月14日~17日、対象者:長野・群馬エリア在住者、N=ツルヤ29人、ベイシア44人、フレッセイ16人)。

 結果を見ると、「ツルヤ」は他チェーンと比較して、「生鮮品の品質・鮮度がよい」「買いたいと思う商品がある」「精肉・鮮魚の種類が豊富」など、商品の品質や品揃えに対する評価が高い。また、「手頃な価格・安い」が上位に入り、価格に対する満足度でも選ばれていることがわかる。

 実際に利用者からは、「青果と鮮魚と精肉、新鮮で安くて種類が豊富」、「地元産の珍しい野菜が多くて面白い」、「アガベシロップや砂糖不使用のライ麦パン、玄米トーストなど、珍しい食材がありとても嬉しい」といった声が挙がった。

課題は「品切れ」「決済」

 品揃えが豊富で、独自商品も充実し、価格面でも優れた食品スーパーとして利用されていることがうかがえる一方、ツルヤであっても課題の声もあった。たとえば、「焼きたてパンの売れ行きがすごく、来店した時にはもう品切れしている時がありもっと販売量を増やして欲しい」と人気店ゆえのコメントや、「QR決済も採用してほしい」といった決済の利便性に対応する要望が挙がった。

群を抜いて支持の高い
「畜産」カテゴリー

※ベイシアは群馬県の店舗レシートのみ。

 次に、購入レシートにおけるカテゴリー出現率を分析した(図表2)。

 すると、「ツルヤ」は他チェーンと比較すると、「農産(52.7%)」、「畜産(32.1%)」、「水産(16.1%)」といった毎日の食卓に欠かせない生鮮3品の購入率が高い特徴がある。

 とくに「畜産」カテゴリーは、「ベイシア(23.5%)」、「フレッセイ(22.2%)」よりも10ポイント(pt)程度高い。「畜産」カテゴリーの内訳をみると、「豚肉」「鶏肉」がそれぞれ3割程度、「卵」が2割強を占めており、バランスよく購入されている。

 回答者のコメントでは、「売場が明るいため、肉、魚が新鮮で、美味しそうにみえる」、「野菜、魚、肉は、価格も手頃でよく売れているからか、店員の方が頻繁に品出しをしており、いつも新鮮な商品が並んでいる」などの声が寄せられた。

PB人気の一方で
総菜には要望あり

 ツルヤの“代名詞”とも言えるプライベートブランド(PB)商品についても、高く評価するコメントが多く見られた。「黒糖カステラが大好きで行くたびに買っている。膨張剤不使用でからだにやさしい」「オリジナルジャムは種類が豊富で安価。とくにリンゴバターは素材そのものの味がする」「添加物を使わないドライフルーツがおいしい」など、一般的なPB商品は価格の安さが購入理由であることが多いが、「おいしさ」「付加価値」によって選ばれ、目的買いされていることがわかる。

 一方で、「総菜」の出現率は、「ツルヤ(26.5%)」と、「ベイシア(33.9%)」「フレッセイ(33.7%)」よりも低い。「天ぷらのバラ売りが有るとうれしい」「総菜がいつも同じ。ラインアップ種類を増やして欲しい」といった要望が見られた。

生鮮3品の
単価の安さ際立つ

 最後に21年1月~22年2月までの3チェーンのレシートデータを分析し、購入状況を比較した(図表3)。

 その結果、ツルヤのレシート1枚平均の購入金額は1730円、購入単価は9.2点。購入点数はベイシアの9.3点と大きく変わらないものの、購入金額は332円も安くなっている。とくにツルヤが高い支持を得ている畜産部門は、ベイシアは牛肉の購入率が高いこともあり529円と高く、ツルヤの安さが際立つ。同部門のツルヤの平均単価は249円で、「豚バラが程いい厚さで、お手軽価格」など、豚肉や鶏肉など、食卓への登場頻度が高い畜種で支持を得ているようだ。

 そのほかツルヤは、「水産」や「総菜」においても平均単価が他チェーンよりも低い。図表1で「手頃な価格・安い」の評価が高いことからも、買物時に消費者に値ごろ感を訴求できいると考える。つまりレシート調査の結果から、ツルヤは商品力やその品質だけではなく、価格に対しても支持を得ていることが人気の理由であると推測される。

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