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減益着地も利益率は高水準をキープ、イズミの2022年2月期決算

中国・九州エリアで総合スーパー(GMS)、スーパーマーケットを展開するイズミ(広島県/山西泰明社長)は4月12日、2022年2月期通期決算を発表した。イズミの商勢圏では新型コロナウイルスの感染拡大が断続的に広がり、緊急事態宣言発令にあわせて営業時間を短縮、福岡県をはじめ感染拡大が深刻だったエリアでは一部の売場を土日休業とするなど、前期に続いて厳しい環境下での経営となった。5カ年の第二次中期経営計画の初年度なる22年2月期業績はどのような結果となったのか。

微減収、最終利益は増益

 イズミは4月12日に発表した、22年2月期連結決算は、営業収益が同0.4%減の6768億円、営業利益が同3.0%減の347億円、経常利益が同3.8%減の346億円、当期純利益が同0.7%減の232億円だった。

 イズミ単体の業績は、営業収益が同0.3%減の6328億円、営業利益が同3.7%減の280億円、経常利益が同3.9%減の282億円、当期純利益が同9.6%減の191億円で、連結決算と同じく減収、営業利益と経常利益が減益、最終利益のみ前期実績を上回った。

 緊急事態宣言、まん延防止等重点措置(まん防)が断続的に発令されるなど、前期に続いて、不安定な状況下での経営を迫られた22年2月期のイズミ。感染対策を講じながら各地域で営業を行い、年末年始などは主力とする大型商業施設への客数の戻りが見られた一方で、スーパーマーケット業態における前期の巣ごもり特需の反動減もあって、営業収益は微減となった。

 利益面では直営部門の在庫コントロールなどを実施した一方で、直営と比較して粗利益率が低いテナント売上高の構成比が上昇(同0.8pt増、ただしイズミ単体)したことにより、全体の粗利益率が低下(同0.2pt減、同)。これにより営業利益は単体、連結とも減益となった。ただ、連結の売上高営業利益率は5.4%と同業他社と比較すると高い水準にある。

 そのほか、傘下のスーパーマーケット事業会社であるゆめマート熊本(熊本県/藤木淳社長)は増収・営業減益、ゆめマート北九州(福岡県/井上宏春社長)とユアーズ(広島県/根石紀雄社長)は減収・営業減益となっている。

今期はオンライン売上高30億円へ

 さてイズミは昨年4月に5カ年の第二次中期経営計画を公表しており、22年2月期はその初年度にあたる。

 中計では、2030年までに達成をめざす長期ビジョンとして「中四国・九州エリアを軸に300店舗体制」「営業収益1兆円」「売上高営業利益率6.0%」という数値目標を掲げている。これの達成をめざし、スーパーマーケットおよびGMS事業での出店と活性化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、ESGなどの分野に5カ年で合計1500億円を投資する。

 その一環で、イズミは21年6月、生鮮食品を含む食料品や日用雑貨を配送するサービス「ゆめデリバリー」を広島市内の2店舗でスタート。ゆめデリバリーの売上高は約1億円とのことだが、全国発送可能な自社ECサイト「ゆめオンライン」と合わせたオンライン売上高は14億円となっている(22年2月期実績)。23年2月期は「ゆめデリバリー」の対応店舗の拡大などにより、このオンライン売上高を30億円まで伸ばす計画だ。

 イズミは中計の中で、「25年のオンライン取扱高300億円」を目標に掲げており、将来的に「ゆめオンライン」の専用倉庫や「ゆめデリバリー」の生鮮専用出荷センターの導入も検討することも明らかにしている。23年2月期上期中にはテナントの「ゆめオンライン」への出店をスタートする予定で、イズミとしては早期にオンライン売上高を一定の規模まで拡大し、事業を軌道に乗せたいところだ。

 23 年2月期は、「収益認識に関する会計基準」、いわゆる新収益認識基準が適用され、テナント売上高や消化仕入れに関する考え方が変わる。そのため、連結の予想営業収益は4543億円と、22年2月期から2000億円以上目減りするが、旧認識基準で対前期比3.0%増の増収を計画する。そのほか、営業利益は326億円、経常利益は326億円、当期純利益は209億円を見込む(いずれも前期比較の増減率は公表していない)。