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激動の2021年! ホームセンター売上高ランキングトップ30をおさらい

『ダイヤモンド・ホームセンター』誌の調べによれば、2020年はコロナ禍での巣ごもり需要の追い風を受け、ホームセンターの市場規模は初めて4兆円を突破した(4兆2686億円)。21年はそのコロナ特需の反動減もあり、22年2月に期末を迎える上場ホームセンターの業績速報ベースでは、ビバホームを除いて各社減収となっている。もっとも21年決算の増収幅と比べれば、おおむね穏やかなものとなっており、DIY(日曜大工)やガーデニングなどを楽しむ新たな顧客の獲得につながったとも考えられる。間もなく、ホームセンター企業の22年決算が発表になる。コロナ特需による反動減をどれだけ吸収できたか、本当に新規の顧客獲得ができているのか、4兆円市場は維持されているのか、気になるところは多い。各社決算発表を待つ前に、21年(20年度)決算での売上ランキングはどうなっていたのか、振り返ってみたい。

M&A相次ぐホームセンター業界

 ホームセンター業界では2020年の終わりごろから、上場HCを巻き込んだ業界再編が進んでいる。20年11月、アークランドサカモト(新潟県)によるLIXILビバ(現ビバホーム、埼玉県)の買収、同12月にはDCMホールディングス(東京都:以下DCMHD)との争いの末、インテリア家具販売のニトリホールディングス(北海道)が島忠(埼玉県)を完全子会社化した。ニトリと島忠の融合店舗も立ち上がっており、売上は好調に推移している。

 21年に入ると3月にDCMHD傘下の5つの事業会社が統合しDCM(東京都)となり、7月には北海道のホームセンター企業テーオーリテイリングとDCMHDが資本業務提携を締結。さらにDCMHDは22年2月、ECに特化して家電を販売し「日本最大級のEC専門ショップ」を標榜する「エクスプライス」を子会社化している。

 21年12月には、都市型店舗が多く、コロナ特需からもっとも遠くに位置しているとされた東急ハンズ(東京都、21年売上619億円、22年売上予想581億円〈営業損失33億円〉)が、業界トップのカインズ(埼玉県)に買収されることも発表された(22年3月末に子会社化)。そのほかにも、アークランドサカモトが21年9月家電量販店のヤマダホールディングス(群馬県)と店舗開発での提携を発表。なおアークランドサカモトは22年9月、子会社のビバホームを吸収合併する。

 自社戦略を明確に打ち出すHCもある。コメリ(新潟県)は「このコロナ禍により、ローコスト出店の条件が整った」として、3000店舗体制の構築に向けて積極出店を図る。プロ業態にもさらなる注目が集まる。コーナン商事(大阪府)の「コーナンPRO」「建デポ」、DCMの「ホダカ」、カインズの「C’z PRO」、コメリの「PRO」など、プロ向け市場では競争激化が起こっている。

増収相次いだ2021年決算

 2021年のホームセンター企業の売上ランキングを見ていこう。売上上位30社のなかで減収はわずかに3社で、3分の1以上(対前期比34.8%減)売上を落とした東急ハンズを除けば微減だった。

 売上高首位は2019年度に業界トップに浮上したカインズ(埼玉県)で、21年2月期の売上高は対前年度比10.1%増の4854億円と2ケタ伸長を遂げた。SPA(製造小売)化や積極的なデジタル投資など、業界に先駆けて革新的な施策を推進し成長を続けている。なお、買収した東急ハンズ分の業績反映は23年2月期からになる。

 2位のDCMHDは、9位の持分法適用会社ケーヨー(千葉県)を合わせたグループ全体売上高は約5846億円(単純合算)で業界最大となる。傘下のHC事業5社を統合したDCM(東京都)のもと、HC事業の最適化、効率化を進める。

 3位はコーナン商事(大阪府)で、21年2月期の売上高は同16.7%増の3976億円とひと際伸長。同社は19年6月に会員制建築資材卸の建デポ(東京都)を連結子会社化したほか、20年2月にはパン・ パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都)傘下の旧ドイトが運営していたHC事業およびリフォーム事業を継承している。

 前述のとおり11位のアークランドサカモト(新潟県) は6位のビバホーム(埼玉県:当時LIXILビバ)を完全子会社化しており、22年決算では順位が大きく変動する見通しだ。ちなみにビバホームの22年決算は、21年1月から22年2月末まで14か月の変則決算となる。