日本フランチャイズチェーン協会(東京都)によると、2021年度(20年1月~12月)のCVSの市場規模(全店ベース)は対前年度比1.1%増の10兆7816億円となった。既存店ベースでも0.6%増だった。20年は新型コロナの感染拡大による外出自粛、リモートワークが日常化し、食品スーパーやドラッグストアに客足が流れ、全店・既存店ともに、売上高が前年を下回った(それぞれ、前年比4.5%減、同4.7%減)。それに対し、21年の店舗数純増は26店舗にとどまりながらも、総菜や日配品、冷凍食品など、大手3社を中心とした日常使いの商品売場の強化策などが功を奏しているようだ。
日販ではセブン-イレブンがダントツも……
セブン-イレブン・ジャパン(東京都:以下、セブン-イレブン)では、これまで住宅立地、事業所立地、行楽立地としていた店舗の分類を、周辺住民の数に応じて「都市型」「住宅型」「郊外型」に変更、従来のワンフォーマットから、立地に合った商品構成にする「立地別品ぞろえ」にも取り組み始めている。ファミリーマート(東京都)は、2020年の秋口からスタートした40周年企画「40のいいこと!?」が話題を集め、21年10月から新プライベートブランド「ファミマル」への切り替えを開始。ファミマルは好調に推移しているという。ローソン(東京都)は大変革実行委員会の施策のひとつである「店舗理想形改装」を4000店舗以上(22年2月末)で実施している。
大手3社の22年2月期第3四半期決算は、セブン-イレブンが1.8%増、ファミリーマートが2.6%増、ローソン4.1%が増と、いずれもチェーン全店売上は前期実績をクリアしている。それぞれの日販を見ると、全店ベースでは、セブンイレブン(64.7万円)が2社(ファミリーマート50.9万円、ローソン49.7万円)を大きく引き離しているが、3社いずれも前年同期を上回っている。ところが新店については、セブン-イレブンだけが前期比マイナス、しかも3.1万円の減少(53万円)となり全店との差が10万円以上に広がった。このあたりがセブン-イレブンのチェーン全店売上の伸びの低さにつながったのだろう。22年3月現在、すでに2月末での月次が公表されている。店舗数の増減は、セブン-イレブンが120店舗増、ファミリーマートが79店舗減、ローソンが180店舗増。ファミリーマートの既存店売上は8月を除き、前期比プラスとなっている。
間もなく、22年決算が発表になる。大手3社の取り組みはどのような結果となって現れてくるのだろうか。上場CVS各社決算発表を待つ前に、21年決算でのチェーン全店売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。
2021年通期決算では大手3社が揃って減収
21年決算は、新型コロナウイルス感染拡大が各社の業績を直撃した。市場をけん引してきた大手3社の21年2月期チェーン全店売上高も、首位のセブン-イレブン・ジャパン(東京都:以下、セブン-イレブン)が対前期比2.8%減の4兆8706億円、2位のファミリーマート(東京都)が同6.8%減の2兆7643億円、3位のローソン(東京都)が同6.3%減の2兆3497億円と揃って落ち込んでいる。
新規出店については、20年2月に大手3社が揃って出店スピードを減速させる方針を発表しているとおり、21年2月期は、セブン-イレブンが610店(店舗純増数は169店)、ファミリーマートが139店(同39店)、ローソンが346店(同85店)で、1000店ペースで出店していた以前と比べて大きく縮小させた。
一方で、ランキング5位ながらセコマ(北海道)は、北海道に密着した経営で成長を続けており、20年12月期のチェーン全店売上高は同1.4%増の1837億円。店内調理総菜や独自商品の好調、「北海道ブランド」を訴求する独自商品の外販拡大などにより好業績を維持している。
ランキング下位の2社(アズナス、国分グローサーズチェーン)は22年決算に大きな変化が生じるはずだ。アズナスはエイチ・ツー・オーリテイリング傘下のCVSだが、親会社とローソンとの包括業務提携契約(21年5月)により、阪急沿線に展開していた「アズナス」全98店舗を「ローソン」に転換した。1978年から半世紀近くにわたり「コミュニティストア」を展開してきた国分グローサーズチェーンは、新型コロナの感染拡大による経営環境の急激な悪化から事業の撤退を決定、21年11月末ですべての営業活動を終了した。
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