メニュー

キーワードは結集・集中・集約 全体最適化をめざすCGCグループの2022年度の戦略とは

世界的な原価高騰が深刻化するなか、食品業界では製・配・販での協業の重要性がますます高まっている。全国の中小食品スーパー(SM)で構成される共同仕入れ機構のシジシージャパン(東京都/堀内要助社長:CGC)も、2022年度の方針の1つとしてグループの規模を活用した全体最適の推進を掲げている。本稿では、22120日に開催された「CGCグループ・アソシエイツ会 新春合同総会」で発表された同グループの22年度の戦略をまとめた。

グループ内会議の充実を図る

 CGCグループは22年度の活動計画として「変える、変わる CHANGE! 2022 『結集』『集中』『集約』」を発表した。パンデミックや自然災害、人口減少などさまざまな問題が起こるなかでも、加盟企業が「地域愛着スーパーマーケット」として存在し続けるため、CGCグループの協業活動を「結集」「集中」「集約」の3段階で進化させていく考えだ。

CGCグループは22年度の活動計画として「変える、変わる CHANGE! 2022 『結集』『集中』『集約』」を発表した

 「結集」ではグループ規模の堅持と会議の参加度向上に努める。従来の会議に加え、新規に開催する「全国販売部長会」、管理栄養士、プロセスセンター、総菜工場、スマホ決済などの共通課題の解決をめざす勉強会、機能集約のための共配会議、加盟企業帯同の海外出張の早期再開などに取り組んでいく。

 

冊子掲載のレシピとの連動を強化

 「集中」では、まずプライベートブランド(PB)の強化に取り組む。これまで実施してきた、加盟店での取り扱いの定番化をめざす「PB450」は、さらに対象商品を増やして「PB500」として積極的に売場での展開を図る。生鮮食品や加工食品で、1品当たりの売上10~30億円規模の商品を育成したい考えだ。また、定期的な競合店調査の結果を基に、チルド焼売や全粒粉ビスケットなど、欠落しているカテゴリーの商品開発にも取り組む。

 「PB500」の対象商品では、毎日同じ価格で提供するEDLP(エブリデー・ロー・プライス)をめざし、コンテナや10トン車、パレット単位での納品を推進することで生産性の改善に取り組む。21年はすでに80SKUでこの取り組みを実施しており、22年もさらに対応商品を拡大する方針だ。

 商品政策(MD)では、コロナ禍で伸長した内食需要を定着させるべく、基礎調味料の強化を継続。加盟店で配布している冊子「ふれ愛交差点」掲載のレシピと連動し、生鮮食品と基礎調味料を組み合わせたメニュー提案にも力を入れる。また、優良産地の生鮮素材を活用した加工食品、派生品の開発にも取り組む。そのほか、コロナ禍で伸長している健康志向に対応したオーガニック商品の開発や、時短ニーズに対応した冷凍食品のラインアップも拡充する。

「ふれ愛交差点」には全国134万人の読者がいるという

 

パレット物流を推進

 「集約」では物流面での全体最適化に取り組む。商品配送では、CGC商品製造受託企業が結集した「パレット物流推進委員会」が中心となりパレットの活用を推進するほか、段ボールをモジュール化するなど、物流の標準化をめざす。また、新潟県を拠点とする亀田製菓や三幸製菓など菓子メーカー6社も「新潟菓子メーカーパレット物流研究会」を発足させるなど、ナショナルブランド(NB)商品での全体最適の動きも始まっている。

 基幹システムやデータ分析、受発注、決済などでは、加盟企業へ共同のシステムの利用を促進することで全体最適を追求する。受発注では、CGCグループ傘下企業が開発した「SBS-VAN」を活用し、全取引のEDIElectronic Data Interchange:電子データ交換)化を推進する。

シジシージャパンの原和彦会長

 アクシアル リテイリング(新潟県)の社長でシジシージャパンの会長も務める原和彦氏は、今回の合同総会で「さまざまなコスト増がすでに始まっている。SMの使命はこのようなときこそ生活者の暮らしを守ることだ。しかし、今回の原価高騰は一過性のものではなく、世界的な規模での構造的な変化によるものだ。不本意ではあるが、ある程度の値上げも検討しなければならない」としつつも、「SMもベンダーやメーカーと今まで以上に連携して、お互いの生産性が上がる取り組みができないか、再度点検する必要がある」と述べた。全国205社の企業が加盟するCGCグループが一貫となって取り組むことで、1社では成し得ない、商品開発や物流などあらゆる面での生産性向上、全体最適化をめざす考えだ。