在庫を持たない「Eコンセッション」型ECサービス
“ファッションを愛するデザイナーやブティックと消費者をつなげるプラットフォーム”を志し、2008年に英国で誕生したラグジュアリー系ファッションECのファーフェッチ(Farfetch)。18年の上場以降も成長を続け、その勢いは衰えることを知らない。
売上成長率は上場以前から年率50%以上で推移していたが、コロナ禍の20年は対前年比60%超となり、売上は16億7000万ドルに到達した(図表)。同業最大手であるイタリア本拠のユークス・ネッタポルテ(YOOX Net-a-porter:YNAP)との売上差は依然大きいが、数年後には逆転しうるペースのスピードで成長している。一方で収益性には課題があり、20年度第4四半期に初めて調整後EBITDAベースで黒字化を実現したものの、通年では上場以来赤字傾向が続いている。
ファーフェッチの大きな特徴は、仕入販売は行わず、在庫を持たないマッチングプラットフォームであるという点だ。同社のモデルは「Eコンセッション(E-Concession)モデル」と呼ばれ、アパレルブランドや小売業者はファーフェッチのマーケットプレイス上に商品を出品し、消費者が商品を選択・購入すると出品者から直接出荷される仕組みだ。ファーフェッチはこの点で競合のYNAPやマッチズファッション(MATCHESFASHION/英国)、エッセンス(SSENSE/カナダ)と異なる。仕入販売を行うこれら競合は売価と仕入れ値の差額が収益源なのに対し、ファーフェッチは販売手数料が主要な収益源となる。
Eコンセッションモデルのメリットは、
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