北海道帯広市を本拠とし、札幌市・旭川市の3拠点で食品スーパー(SM)を展開するダイイチ。同社は地域密着に注力するローカルSMとして、「コア商品」を中心に高品質な商品の提供を継続してきた。2020年11月に新たに社長に就任した若園清氏に、現状の取り組みや今後の経営戦略について聞いた。
“半歩後ろ”から顧客のニーズに対応
──21年9月期をどのように振り返りますか。
若園 21年9月期は、売上高440億円(対前期比3.3%増)、営業利益19億円(同6.6%増)、経常利益19億円(同6.7%増)、当期純利益12億円(同7.6%増)の増収増益でした。実は期初に計画していた予算では、コロナ禍における前年度の反動減と先行き不透明な状況を考慮して減収減益を見込んでいました。しかし、一方では上場企業として結果が求められますので、なんとか前年度並みの数値を確保したいと、コロナ対策を徹底しながら販促などの強化に取り組みました。生活必需品を提供するSMとしてお客さまに頼りにされるべく、アルバイト・パートナー社員も含め全従業員の頑張りがあったからこそ増収増益を達成することができたのだと思います。
──コロナ禍の消費行動の変化をどのようにとらえていますか。
若園 周知のとおり、外食が控えられ、家庭での調理が増えるなど生活様式に変化が生じています。このような変化を先読みし新たな提案に取り組むSMもありますが、当社はお客さまの動向を注意深く観察し、お客さまの“半歩後ろ”からそのときに求められている商品を欠品させることなく提供するという戦略を採りました。また、お客さまの声を100%拾うことは難しいため、消費者の反応を直に見ているアルバイト・パートナー社員など現場の従業員の意見を積極的に取り入れたいと考えています。それらを売場づくりや品揃え、店舗運営などに反映させることを意識しています。
──コロナ禍では消費者の節約志向もますます高まっています。
若園 景気の悪化から節約志向が高まり、より低価格を求める傾向も強まっていますが、モノには原価があります
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