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[塗料]多様化するコンセプト商品
ユーザー層の拡大を図る取り組みが活発化

Paint

多様化するコンセプト商品
ユーザー層の拡大を図る取り組みが活発化

塗料

近年の塗料市場では、利用者層の拡大を踏まえた新しいニーズに対応する商品や、新しい利用シーンの提案を含むコンセプト商品が数多く生まれている。保護、補修といった従来のニーズに対応するだけでなく、より趣味的で、ライフスタイルを提案するタイプの商品が増えるトレンドにある。またメーカー各社が行うワークショップなどのイベントも活発化する傾向にあり、大きな成果を挙げている例も多い。(本誌:上明戸聡)

 

新しいニーズにいち早く対応する商品が続々と登場

 

 家庭用塗料市場では、「DIY女子」という言葉に象徴されるように、新しい需要者層に向けた製品開発やコミュニケーション戦略が活発化している。

 

 少子高齢化や、住宅需要の減少によって、塗料が役割を担う住居回りの塗り替え市場が伸び悩む傾向にあるなか、新たな活用シーンが生まれてきている。

 

 ひと頃のガーデニングブームでも見られたように、こうしたトレンドは市場の主流にはならないとしても、市場全体の活性化や、ホームセンターにおける売場の拡大・多様化につながる可能性を秘めている。

 

 こうした情勢を受けてメーカー各社も、性能そのものの向上に加え、よりスタイリンシュなコンセプトを持った商品や、扱いやすい容器の開発、安全性や環境対応を意識した商品などを次々と打ち出している。

 

ワークショップなどの体験型イベントで“塗る”楽しさを発信

 

 同時にメーカー各社では、展示会や店頭でのワークショップ開催など、体験型のイベント開催やプロモーションに積極的に取り組んでいる。内容も女性向け、子供向けなど多彩で、ペイントのテクニックを伝えるだけでなく、“塗る”ことの楽しさを体感してもらうことが大きな目的だ。

 

 2018年の「JAPANDIY HOMECENTERSHOW」でも、メーカーによるワークショップなどのイベントが開催され、想像以上の人気を集めるブースも見られた。

 

 こうしたアプローチは新しい需要層に向けて有効であるだけでなく、店頭においては塗料売場の活性化につながり、リピーターの育成にもつながる。品揃えの幅や調色といった塗料売場ならではの顧客対応だけでなく、体験を提供していくことも大きな意義を持つ時代になっている。

 

 実際に塗装経験を持つ一部のユーザー以外にとっては、実際に用具を手に取り、塗装してみるまでには心理的な壁があり、うまく塗装するためにはちょっとした知識やコツも重要だ。これらを店頭から発信していくことで、新しいユーザーが感じる垣根を少しでも低くしていく努力が求められている。

 

「JAPAN DIY HOME CENTER SHOW 2018」における和信ペイントのブース。ワークショップに多くの参加者が殺到するなど、人気を集めた

 

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多様化するコンセプト商品
ユーザー層の拡大を図る取り組みが活発化

MD-FOCUS 和信ペイント

新コンセプトの木部用塗料「ウッドアトリエ」のプロモーションを強化

2018年に和信ペイントが発売した「ウッドアトリエ」が好調に販売実績を伸ばしている。その最大の特徴は、これまでのニスやステインにはなかった色調を含む充実のカラーバリエーションと、女性目線を意識したスタイリッシュで使いやすい商品コンセプトだ。

 

木の風合いを生かす独特のカラーバリエーション

 

 和信ペイントの「ウッドアトリエ」は、女性のDIY心をくすぐる水性木部用塗料として登場。大きな注目を集めている。

 

 シリーズ商品としてラインアップされているのは、ペースト状ニス「ソリッドカラー」(メインカラー12色)、着色剤「ウッドステイン」(メインカラー12色・サブカラー16色)、ウレタンニス「クリアコート」(メインカラー12色プラス透明つや消し・透明つやあり)、木材保護塗料の「エクステリアカラー」(メインカラー12色)など。

 

 「ソリッドカラー」は、水性としては今までなかったペースト状のニスで、ワックスではないが、ワックス感覚で手軽に使用することができる新発想の塗料だ。

 

 複雑な形状の作品でも塗りムラが出にくく、色落ちしにくい点も魅力となっている。また「ウッドステイン」は、顔料の定着性を向上させ、ステインのみで仕上げても色移りしにくいのが特徴。防水性が必要な場合は、「クリアコート」を上塗りすることができる。

 

 開発に当たっては、同社が推進するペイント同好会「JLPC(ジャパンレディスペイントクラブ)」のメンバーなどの女性からヒアリングを実施。その意見を踏まえて、これまでにはなかった新感覚のカラーバリエーションを提案している。

 

ワークショップやウェブサイトの活用で情報訴求を展開

 

 同社では商品発売後からホームセンター店頭でのワークショップなどのイベント開催を提案し、徐々に広がりを見せているほか、展示会などでも積極的に訴求。「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2018」でも「ペイント女子」のイベントやワークワークショップなどで、多くの来場者の関心を引き付けることに成功した。

 

 こうした活動を継続してきた結果、女性層を中心に認知度が急速に向上しており、配荷も拡大しつつある。

 

 また「ウッドアトリエ」専用のランディングページを設置し、スマホなどでも簡単に閲覧できるようにしている。このページに、クリックでペイント後のアイテムの色を変え、イメージを確認できる仕組みを導入するなど、ウェブサイトを積極的に活用。

 

 さらにサイトや店頭で活用できる塗り方動画も現在制作中だ。DIYアドバイザーの末永京さんの協力によって、「ウッドアトリエ」の活用方法やイメージなどを発信していく予定だ。

 

 一方、一貫して店頭提案を強化しており、すでに一部店舗では、エンドを活用して商品ラインアップを展開するなど、ブランドに特化した売場が実現している。商品の特徴をボードなどで訴求するほか、実際に塗って仕上げたさまざまなオブジェをディスプレーするなど、夢が広がる仕上がりイメージをアピールする。

 

 「ウッドアトリエ」は、同社が木部用塗料メーカーとして積み上げてきた実績と技術力を背景として、自信を持って提案する、まさに新コンセプトを前面に打ち出した商品。今後の展開にも期待したい。